理屈だけではうつ病は治らない、
2025年3月14日

理屈だけではうつ病は治らない
うつ病と向き合っている皆さんへ。
今、あなたはとてもつらい状況にあるかもしれません。何をしても気分が晴れず、朝起きるのもつらくて、誰とも話したくない日が続いているかもしれません。頑張ろうとしても体が思うように動かず、自分を責めてしまうこともあるでしょう。そして、いろいろな人から「こうすれば良くなるよ」「前向きに考えたら大丈夫」と言われても、心に響かないことがあるかもしれません。
そんな時、「どうして自分は治らないのか」と自分を責めたり、「これだけやっているのに良くならないのは、自分に問題があるのではないか」と感じたりしてしまうことはありませんか?でも、どうかその考えを一度手放してみてください。うつ病は、理屈だけで治るものではないのです。

理屈が通用しない「心」の問題
うつ病は「心の風邪」とも言われることがありますが、実際にはそれ以上に複雑で、深刻な病です。風邪の場合、安静にして薬を飲めば自然に回復することが多いですが、うつ病はそう単純ではありません。
「なぜ自分はこんなに苦しいのか」「原因がわかれば治るはず」「ポジティブに考えれば良くなる」と考えてしまうのは自然なことです。しかし、うつ病は心の不調であると同時に、脳の働きにも影響を与える病気です。脳内のセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質のバランスが崩れることで、気分が落ち込んだり、物事に興味を持てなくなったりします。そのため、「気持ちを切り替えよう」と頭で考えても、思うように気分が改善しないことがあるのです。
また、ストレスや過労、孤独感、トラウマなどが重なることで、脳や心の働きに大きな負担がかかります。さらに、心が疲弊していると、体の不調(頭痛や胃痛、倦怠感など)も現れることがあります。その結果、「頑張ろう」としても体がついてこなかったり、理屈では「動かなきゃ」と思っても行動できなかったりするのです。

「頑張れば治る」は間違い
「努力すれば治る」「ポジティブに考えれば良くなる」と言われたことがあるかもしれません。でも、それは必ずしも正しいわけではありません。
むしろ、「頑張る」ことが逆効果になることもあります。
うつ病の人は、もともと責任感が強く、まじめで努力家なことが多いです。「やるべきことをきちんとやらないといけない」「迷惑をかけてはいけない」という思いから、無理をしてしまうことがあります。でも、その「頑張りすぎ」が心や体にさらに負担をかけ、症状を悪化させてしまうことがあります。
「頑張る」ことよりも大切なのは、**「休むこと」「自分をいたわること」「無理をしないこと」**です。うつ病の回復には、無理をしないで「今の自分を受け入れる」ことが必要なのです。

理屈を超えた「安心感」と「受け入れ」
うつ病の治療には、理屈や理論だけではなく、**「心が安心する時間」や「自分を受け入れる体験」**がとても重要です。
たとえば、
- 誰かに「そのままでいいよ」と言われたとき
- 何も考えずに自然の中でぼーっと過ごしたとき
- 誰かがそっと手を握ってくれたとき
- 「無理しなくていいよ」と優しく声をかけられたとき
こうした瞬間に、「ああ、自分はそのままでも大丈夫なんだ」と心がホッとした経験があるかもしれません。この「理屈では説明できない安心感」が、心の回復につながっていくのです。
私が大切にしている「マインドフルネス」も、理屈を超えた回復へのアプローチの一つです。マインドフルネスは、「今、この瞬間に意識を向けること」「ジャッジをせずに、自分の感情や体の状態をそのまま受け入れること」を大切にしています。
たとえば、深呼吸をしながら「今、自分は息をしているんだな」と感じるだけでも、心が落ち着くことがあります。苦しいときに「頑張って呼吸を整えなきゃ」と思う必要はありません。ただ、「今、苦しいな」「つらいな」と感じることを許すことが大切なのです。

「治そう」としないことが大切
「早く治したい」と思う気持ちはとてもよくわかります。でも、うつ病の回復には「治そう」と無理に努力するよりも、**「今の自分を受け入れること」**が必要です。
・朝起きられない → 無理に起きなくていい
・何もやる気が出ない → そのままでいい
・人に会いたくない → 無理に会わなくていい
「ダメな自分」「弱い自分」と責める必要はありません。うつ病は「心の不調」ではなく、「脳の病気」でもあるので、気力や精神力でコントロールできるものではないのです。

「そのままのあなたで大丈夫」
私は、あなたが「そのままの自分」を大切にしてほしいと願っています。
「頑張らなくてもいい」
「理屈で解決しなくてもいい」
「苦しいときは、ただ苦しいと認めていい」
あなたはそのままの存在で価値があるのです。無理に「ポジティブに考えよう」としなくても、理屈で「なぜこうなるのか」と考えなくても、ゆっくりと少しずつ、あなたの心は回復に向かっていきます。
どうか、自分を責めないでください。
どうか、焦らないでください。
あなたが「自分はこのままでいい」と感じられる日がきっと来ます。
あなたは一人ではありません。
私はいつでも、あなたの回復を信じて、応援しています。
どうか、今日も一日を無理なく、ゆっくりと過ごしてください。
あなたの心が、少しずつでも穏やかになりますように。

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