ナンプレとうつ病の関係について
2025年1月29日
うつ病とナンプレ(数独)について
ナンプレは、うつ病の回復を助ける一つのツールとして注目されています。うつ病は、気分の低下、集中力の欠如、興味や意欲の喪失といった症状を伴いますが、ナンプレを行うことで、脳や心に対して以下のようなポジティブな影響を与える可能性があります。
そこで、うつ病とナンプレ(数独)について説明していきます。
ナンプレの始まりは、
ナンプレの始まりは、18世紀のスイスの数学者 レオンハルト・オイラー によって考案された数学的なパズルに由来するとされています。オイラーは、同じ数字や記号が行や列に重複しないように配置する数学的なパズルでした。
しかし現在のナンプレの原型は、1979年にアメリカのパズル作家ハワード・ガーンズ が「ナンバープレイス」として考案し、アメリカの雑誌に掲載されたことから始まります。このパズルは、日本のパズル出版社ニコリによって改良され、1984年に「数独(すうどく)」という名称で紹介されました。
その後、2000年代にイギリスの新聞で紹介されると世界的に大ブームとなり、現在では多くの国で親しまれる定番のパズルゲームとなっています。
ナンプレとはどんなパズルでしょうか、
ナンプレ は、縦横のマスに数字を埋めるロジックパズルの一種です。
基本ルール
ナンプレは通常 9×9のマス で構成され、さらに 3×3のブロック に分けられています。プレイヤーは、以下のルールに従って 1〜9の数字 をマスに埋めていきます。
- 各行(横列)に1〜9の数字を重複せずに配置する。
- 各列(縦列)に1〜9の数字を重複せずに配置する。
- 各3×3のブロックに1〜9の数字を重複せずに配置する。
最初にいくつかの数字がヒントとして埋められており、これを手がかりに論理的に数字を推理していくゲームです。
ナンプレの特徴
- 論理的思考力が鍛えられる:計算は不要で、推理とパターン認識が重要。
- 難易度が選べる:初心者向けの簡単な問題から、上級者向けの超難問まで幅広い。
- 紙でもアプリでも楽しめる:新聞や雑誌にも掲載されており、スマホアプリやオンラインでもプレイ可能。
シンプルなルールながら奥が深く、世界中で人気のあるパズルゲームです。
1. ナンプレの心理的・認知的効果
(1) 集中力の向上
うつ病において、注意力や集中力の低下は一般的な症状です
- ナンプレが助ける理由:
ナンプレは、問題を解くためにルールに基づいて数字の配置を考える必要があり、自然と注意を引きつけます。タスクに集中することで、雑念が薄れ、「今この瞬間」に意識を向けることができます。
(2) 思考力と前向きな感覚の回復
うつ病では、ネガティブな思考にとらわれがちです。ナンプレのような論理パズルは、問題解決型の思考を刺激し、ポジティブな達成感を得るきっかけになります。
- 達成感:一問解き終えるたびに「やり遂げた」という感覚が得られます。これは自己効力感を高め、うつの症状を和らげる助けになります。
(3) 脳の活性化
うつ病は脳の働きを低下させることがありますが、ナンプレを行うことで特に前頭前野(計画や判断を司る部位)が刺激されます。
- 認知トレーニング効果:数字の配置を考える過程で脳の働きが活発になり、思考力の回復を助けます。
2. ナンプレによるストレス緩和効果
(1) 心のリセット
ナンプレに集中している間、ストレスや不安の原因となる思考から一時的に離れることができます。これはマインドフルネスの効果にも近い状態です。
- リラクゼーション:シンプルな作業に没頭することで、リラックス効果が得られます。
(2) ストレスホルモンの軽減
ナンプレのような単純なタスクに取り組むと、ストレスホルモン(コルチゾール)が減少し、リラックス状態を促進する効果が期待されます。
3. うつ病の回復支援としての活用ポイント
(1) 難易度の調整
うつ病の症状が重いときには、難易度が高すぎるパズルは逆効果になる場合があります。
- おすすめ:簡単な問題から始めて、徐々にチャレンジを増やす形にすると、無理なく取り組めます。
(2) 時間にこだわらない
ナンプレを解く時間が長くかかっても問題ありません。「解く過程を楽しむ」ことを目的とし、完璧さを求めないことが大切です。
(3) 日課として取り入れる
1日1問など、小さな習慣として取り入れることで、継続的に心と脳をトレーニングできます。
4. ナンプレの限界と注意点
- 過度なプレッシャーを避ける
- うつ病の症状が重い場合、ナンプレが難しく感じられることがあります。その場合は無理をせず、他のリラックス方法を試すことも重要です。
- 専門的なサポートと併用する
- ナンプレはうつ病を完全に治療するものではありません。あくまで補助的な活動として、医師やカウンセラーの治療と並行して取り組むことが推奨されます。
5. ナンプレとマインドフルネスの組み合わせ
ナンプレをマインドフルネスの一環として取り入れると、さらなる効果が期待できます。数字を埋める作業に集中することで、「今この瞬間」に意識を向ける練習が自然と行えます。また、解き終えた後に数分間の深呼吸や瞑想を行うと、リラクゼーション効果が高まります。
ナンプレと前頭前野の関係について
ナンプレは、前頭前野の働きを活性化させる効果があるとされています。
前頭前野は脳の中でも特に重要な役割を担う部分で、思考や判断、感情のコントロール、問題解決などに関与しています。以下では、ナンプレがどのように前頭前野に影響を与えるのかを説明します。
1. 前頭前野の役割
前頭前野は、脳の前方に位置し、以下のような機能を担っています:
- 注意力と集中力の維持
- 意思決定や計画の策定
- 論理的思考や問題解決
- 感情の制御や自己認識
うつ病やストレスが強い状態では、この部位の働きが低下することが知られています。
2. ナンプレが前頭前野に与える効果
(1) 注意力と集中力の向上
ナンプレを解く際には、数字の配置やルールを守りながら集中する必要があります。この集中状態は、前頭前野を活性化し、注意力を鍛えるトレーニングになります。
- 数字のパターン認識:一つの問題に集中することで、前頭前野が継続的に働きます。
- 雑念の排除:マインドフルネスのように、「今ここ」に意識を向ける練習としても有効です。
(2) 論理的思考の強化
ナンプレは、問題解決型の活動です。次の数字を置くためにルールを考慮しながら選択を繰り返す過程は、前頭前野が主導する論理的思考の訓練になります。
- 仮説と検証:次の一手を試し、間違いがないか確認する過程で論理的推論が鍛えられます。
- パターン認識能力:解決方法を見つけるスキルは、前頭前野の活発な活動を促します。
(3) 計画力と意思決定の促進
ナンプレは、短期的な目標(次の数字を埋める)と全体的な目標(パズル全体を完成させる)を同時に追求します。この過程が、計画を立てる力や意思決定力を向上させます。
- 全体像を把握:完成形をイメージしながら進めることで、戦略的な思考が強化されます。
- 優先順位の設定:どのマスを先に解くべきかを考えることで、計画力が高まります。
(4) 感情のコントロール
ナンプレに集中している間、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑制され、前頭前野を活性化する働きが促進されます。これにより、感情の安定やストレス軽減効果が期待できます。
3. ナンプレが前頭前野に良い理由
ナンプレは、他の活動に比べて脳の負荷が適度であり、前頭前野を刺激しながらも疲れすぎない点が特徴です。以下の理由から、特にうつ病の予防や改善に役立つと考えられます:
- 低コストで始められる:紙とペンさえあればどこでもできる。
- 習慣化が容易:短時間で取り組め、日常的な脳トレーニングとして適している。
- 達成感を得やすい:完成時に得られる満足感が、ポジティブな感情を引き出します。
4. ナンプレと前頭前野トレーニングの相乗効果
ナンプレだけでなく、以下の活動と組み合わせることで、さらに前頭前野を活性化できます:
- マインドフルネス瞑想:ナンプレ後に数分間の呼吸瞑想を行うことで、集中力とリラクゼーションを高める。
- 軽い運動:ウォーキングやヨガなど、身体を動かす活動と組み合わせると効果が倍増します。
- 会話やディスカッション:家族や友人とナンプレについて話し合うことで、社会的なつながりも活性化されます。
ナンプレは、前頭前野を鍛えながらリラックスする方法として、マインドフルネスとも相性の良い活動です。日常生活に取り入れて、脳の健康と心の安定を促進しましょう。
ナンプレのデメリット
ナンプレは論理的思考を鍛えたり、脳の活性化に役立つ一方で、いくつかのデメリットもあります。そのことも考慮していおくことは大切な事ですので触れておきます。
考えられるデメリットとは
- 時間がかかる
- 難易度が高い問題ほど解くのに時間がかかるため、気づかないうちに長時間集中してしまうことがあります。
- 仕事や勉強の合間にプレイすると、つい時間を忘れてしまい、本来のやるべきことが後回しになることも。
- 目や脳に負担がかかる
- 長時間プレイすると、画面や紙に集中しすぎて 目が疲れたり、肩こりの原因 になることがあります。
- また、難しい問題を解こうとしすぎて ストレスや脳の疲れ を感じることも。
- 単調になりやすい
- 数字を埋める作業が基本なので、人によっては 単調に感じて飽きてしまう ことがあります。
- ずっとプレイしていると、「別の種類のパズルもやりたい」と思うことも。
- 中毒性がある
- ナンプレは達成感があり、解くたびに「もう1問」と続けたくなります。
- その結果、 寝る時間が削られたり、他の活動をおろそかにしてしまう こともあります。
- 数学や計算の能力が直接向上するわけではない
- 数字を使うパズルですが、計算をする必要はないため、数学の能力が向上するわけではありません。
- むしろ、論理的思考力やパターン認識能力のトレーニングに特化したゲーム。
対策として
- 時間を決めてプレイする(例:1日30分)
- 適度に休憩をとる(目や肩を休める)
- 他のパズルやアクティビティと組み合わせる
ナンプレは楽しみながら脳トレができる素晴らしいゲームですが、やりすぎには注意が必要ですね。
まとめ
ナンプレは、うつ病の回復をサポートする一つの手段として有効です。脳の活性化や集中力の向上、自己効力感の向上など、さまざまなメリットがあります。ただし、無理なく楽しく取り組むことを心がけ、必要に応じて専門家のサポートを受けながら行うことが大切です。
マインドフルネスのエビデンス(効果の検証)
マインドフルメイトのエビデンス
マインドフルメイトでは、過去10年以上の活動データを基にエビデンスを制作しています。その方たちは、うつ病や不安障害・パニック障害等の症状で悩む方々になります。私たちは、それらの方々の苦しみの声に真摯に耳を傾け、その人・その人に相応しいマインドフルネスを提供してきました。
その結果が、10年間で600名以上になっていますのでその集約をマインドフルネスのエビデンスとしています。
以下をご覧ください。(クリック)↓ https://mindfulmate.jp/evidence/
マインドフルメイトの相談会
マインドフルメイトでは、マインドフルネス心理療法を用いて、精神疾患の治療及び予防を行っています。その対策や予防が出来ずに過ごしてしまうと症状が長引くと仕事ができない、思うことができないと苦悩したり、悪化すると自殺したい、消えたいなどの気持ちが出てくる人がいます。マインドフルネス心理療法は、アメリカの臨床実験により、うつ病や不安障害やパニック障害やPTSD、摂食障害(拒食・過食)、依存症、家族の不和などに効果があることが確認されています。
以下をご覧ください。(クリック)↓ https://mindfulmate.jp/conference/
この記事は以下の方が執筆しています。
佐藤福男
〇資 格 : マインドフルネス瞑想療法士(マインドフルネス総合研究所) マタニティー / 0才児 指導者資格(幼児開発協会) 一般旅行業取扱主任者(国家資格) 〇役 職: 非営利型一般社団法人マインドフルメイト代表理事・ マインドフルネス学校 学校長
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