マインドフルネス瞑想と十如是の統合的実践

2026年1月28日

マインドフルネス瞑想と十如是の統合的実践

― 今この現実を、丸ごと生きるための智慧 ―

現代社会では、不安やストレス、うつ状態など、心の苦しみを抱える方が年々増えています。その中で注目されているのが「マインドフルネス瞑想」です。一方、仏教、特に法華経に説かれる「十如是」は、私たちの現実を深く、全体的に理解するための根本的な教えです。

一見すると、マインドフルネスは心理的実践、十如是は宗教的教義のように思われるかもしれません。しかし両者を丁寧に見ていくと、実は同じ現実を、異なる言葉で語っていることが分かります。

本コラムでは、マインドフルネス瞑想と十如是を統合した実践について、専門的になりすぎない形でご紹介します。

マインドフルネス瞑想とは何か

マインドフルネス瞑想の基本は、とてもシンプルです。

「今ここで起きている体験に、評価や判断を加えず、そのまま気づいている」

呼吸、身体感覚、感情、思考――それらを「良い・悪い」で分けることなく、ただ観察します。変えようとせず、抑え込まず、逃げずに、今の自分の状態に静かに寄り添う姿勢です。

この態度は、心の症状を「排除すべきもの」とせず、「気づかれるべき体験」として扱う点で、大きな癒しの力を持っています。

十如是とは「現実を丸ごと観る視点」

十如是とは、法華経に説かれる以下の十の観点です。

如是相(あらわれ)

如是性(性質)

如是体(全体)

如是力(はたらき)

如是作(作用)

如是因(内的要因)

如是縁(外的条件)

如是果(結果)

如是報(積み重なった影響)

本末究竟等(始めから終わりまで等しい)

十如是は、「人」や「出来事」を部分的に切り取るのではなく、原因から結果、内面から環境までを含めた全体として捉えるための智慧です。

十如是をマインドフルネスの“観察の枠組み”として用いる

統合的実践のポイントは、十如是を「考えて理解する教え」としてではなく、気づきを深めるための視点として用いることにあります。

1.如是相 ― 今、何が起きているか

まずは、今の自分の状態に気づきます。

呼吸は浅いか、深いか

不安、緊張、重さはあるか

評価せず、「こうであってはいけない」と思わず、ただ気づきます。

2.如是性 ― その体験の性質

次に、その状態が持つ性質を感じ取ります。

たとえば、不安は「危険を避けようとする性質」、悲しみは「大切なものを守ろうとする性質」を持っています。感情を敵にせず、その役割として理解することで、自己否定がやわらぎます。

3.如是体 ― 私のすべてではない

その感情や症状は、「私そのもの」ではなく、心・身体・記憶・環境が関わり合って生じている一つの状態です。

この視点は、苦しみとの距離を自然に生み出します。

4.因と縁 ― 条件が重なった結果

心の不調は、本人の弱さだけで生じるものではありません。過去の体験(因)や、環境・人間関係・疲労(縁)が重なった結果として現れています。

この理解は、「自分を責める心」を静かにほどいてくれます。

5.本末究竟等 ― すべてはつながっている

苦しみも、回復も、揺らぎも、人生の流れの中では等しく成り立っています。

「今が苦しいから、すべてがだめなのではない」

そう気づくとき、深い安心感が生まれます。

統合的実践がもたらすもの

マインドフルネス瞑想と十如是を統合することで、次のような変化が期待できます。

・症状を排除しようとしなくなる

・自分を責める思考が弱まる

・回復を急がなくなる

・今の自分を、そのまま認められる

これは「治そうと頑張る実践」ではなく、人が本来持っている回復力に信頼を置く実践です。

まとめ

マインドフルネス瞑想は「気づく力」を育て、十如是は「現実を丸ごと受け取る智慧」を与えてくれます。両者が重なったとき、私たちは苦しみを敵にせず、意味づけで縛ることもなく、今の人生をそのまま生きる道を見出していきます。

この統合的実践が、心の安全基地を育てる一助となれば幸いです。

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