マインドフルネスのゆっくり呼吸法とは ー 自律神経を整え、こころを身体を整える
2025年6月18日

マインドフルネスのゆっくり呼吸法とはー 自律神経を整え、こころを身体を整える
現代社会は、日々の仕事や人間関係、将来の不安などで、心も体も知らず知らずのうちに緊張し続けています。多忙なビジネスマンや、責任の重い職場で働く方々の中には、慢性的なストレスや不安、不眠、さらにはうつ状態に悩む方も少なくありません。そんな心の負担を和らげる方法として、いま注目されているのが「マインドフルネスのゆっくり呼吸法」です。この呼吸法は、特別な道具も場所も必要とせず、誰でもすぐに実践できるシンプルな方法ですが、心と体を整える強力な効果が期待できます。
この記事では、マインドフルネス呼吸法の目的、効果、そして具体的なやり方を、わかりやすく丁寧にご紹介していきます。
なぜ呼吸法が心を整えるのか
私たちは普段、呼吸を無意識に繰り返していますが、実は呼吸の仕方ひとつで自律神経の働きが大きく変わります。ストレスを感じているときは呼吸が浅く速くなり、逆にリラックスしているときは自然とゆっくり深い呼吸になっています。自律神経は、自分の意思では直接コントロールできない体の働きを調整していますが、唯一意識的に操作できるのが「呼吸」です。
だからこそ、意識して呼吸を整えることで、自律神経のバランスを調え、心の緊張や不安を和らげる効果が生まれるのです。さらに、呼吸に意識を向けることで「今この瞬間」に意識が戻り、未来への不安や過去の後悔から解放され、心が安定します。これこそがマインドフルネス呼吸法の大きな魅力です。
マインドフルネス呼吸法の目的 ー 自律神経を整えること
私たちの体には、自分の意思ではコントロールできない体の働きを自動で調節してくれる「自律神経」という仕組みがあります。例えば、心臓を動かしたり、呼吸をしたり、汗をかいたり、胃腸を働かせたりといった働きは、私たちが意識しなくても常に行われています。この自律神経には、主に交感神経と副交感神経という2つの働きがあります。
交感神経は、緊張や興奮、ストレスを感じたときに活発になり、心拍数を上げ、血圧を高め、体を「戦うか逃げるか」の状態にします。一方で、副交感神経は、リラックスしているときや眠る前、安心しているときに優位になり、心拍数を落ち着かせ、呼吸をゆっくりにし、消化機能を促進するなど、体を回復モードに導きます。
現代社会では、常に忙しく情報に囲まれ、仕事や人間関係、将来への不安などで交感神経が過剰に働きがちです。その結果、体も心も休まることができず、疲れやストレスが慢性化し、不眠や頭痛、胃の不調、気分の落ち込みといったさまざまな不調を引き起こしてしまいます。

唯一自分の意思で調整できるのが呼吸
そこで有効なのが、「呼吸を整えること」です。自律神経の働きの中で、唯一自分の意思で調整できるのが呼吸なのです。呼吸は、速くも遅くも、深くも浅くも、自分で意識して変えることができます。
特に、ゆっくりとした深い呼吸を行うと、副交感神経が優位になり、体がリラックスモードに切り替わります。これにより、乱れた自律神経のバランスが整い、ストレスや緊張、不安がやわらぎ、心が穏やかになっていくのです。
マインドフルネス呼吸法は、この呼吸の力を活かして自律神経を整えることを大きな目的のひとつとしています。呼吸を整えることで、ストレスで過敏になった神経系を鎮め、心身の調和を取り戻す効果が期待できるのです。
過度なストレスを感じているときや、
特に、過度なストレスを感じているときや、気持ちが落ち着かないとき、イライラしているときなど、呼吸に意識を向けることで自然と気持ちが和らぎ、自分自身を客観視できるようになります。呼吸は常に自分の内側にある「安心の拠り所」であり、そこに意識を戻すことで、心のバランスを取り戻すのです。
ゆっくりとした呼吸を行うことで、
・思考の暴走を鎮め、今に意識を戻す
・自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整える
・ストレスや不安、不眠、緊張を和らげる
ことを目的とします。

マインドフルネス呼吸法の効果
実際に、ゆっくりとした呼吸法を行うと、さまざまな心と体の変化が現れます。まず、自律神経のうちリラックスを司る副交感神経が優位になり、血圧や脈拍が安定。心拍がゆったりとし、筋肉の緊張もほぐれていきます。また、脳の前頭前野と呼ばれる部分が活性化し、思考の整理や感情のコントロールがしやすくなることがわかっています。
自律神経の調整効果
呼吸をゆっくり行うことで、副交感神経(リラックスを司る神経)が優位になり、緊張や興奮状態が鎮まりやすくなります。これにより、血圧や脈拍が安定し、体の緊張も自然とほぐれていきます。
前頭前野の活性化
呼吸に意識を向ける行為は、脳の前頭前野を活性化させ、感情のコントロールや思考の整理を助けます。特に怒りや不安、焦燥感が強いときに、冷静な判断を取り戻しやすくなります。
脳内ホルモン(セロトニン)の分泌促進
呼吸法を行うことで、気分を安定させる「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌が促され、ストレスの緩和や気持ちの安定が得られることがわかっています。
血流と酸素供給の改善
深い呼吸を行うことで血行が促進され、脳や内臓への酸素供給が増えます。これにより、集中力の向上や思考の明晰化、免疫力のアップも期待できます。
睡眠の質の改善
就寝前にゆっくりとした呼吸法を行うことで、副交感神経が働き、入眠しやすくなります。また、深い睡眠が得られることで、翌日の疲労感の軽減や、気分の安定にもつながります。

うつや不安の軽減効果
「うつ」と「不安」の軽減効果について
マインドフルネス呼吸法が、なぜうつ症状や不安感の軽減に役立つのか。その理由は、脳と自律神経の働き、そして心の仕組みに深く関係しています。
うつ病や不安障害の多くは、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れや、感情を司る「扁桃体」という部位の過剰な活動が関わっていると考えられています。不安を感じているとき、脳内では扁桃体が活性化し、心拍数や血圧が上昇し、交感神経が優位になることで、体は常に緊張した状態に。これが続くとうつ状態にも繋がりやすくなります。
しかし、マインドフルネス呼吸法を行うと、呼吸に意識を向け「今この瞬間」に集中することで、扁桃体の過剰な活動が抑えられ、リラックスをつかさどる副交感神経が優位になります。その結果、心拍数や血圧が落ち着き、筋肉の緊張もほぐれ、心の安定感が得られるのです。
さらに、呼吸法の実践によって脳の「前頭前野(ぜんとうぜんや)」と呼ばれる部分が活性化することもわかっています。この前頭前野は、感情のコントロールや思考の整理、自分自身を客観視する役割を持つ場所です。うつ状態では、この前頭前野の働きが低下し、物事を悲観的に考えたり、過去の後悔や未来への不安に囚われやすくなります。呼吸法によってこの前頭前野の活動が高まることで、感情を冷静に見つめる力が回復し、不安に振り回されにくくなります。
また、呼吸法を習慣的に行うと、脳内の「セロトニン」と呼ばれる神経伝達物質の分泌も促されます。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分の安定や睡眠の質向上、ストレス緩和に深く関与しており、うつ病の発症や悪化の予防にも役立つことが知られています。

次のようなメカニズムでうつや不安を軽減するのです。
- 呼吸に意識を向けることで扁桃体の過剰反応を鎮める
- 副交感神経が優位になり、心と体がリラックスする
- 前頭前野が活性化し、感情の整理と思考の冷静さを取り戻す
- セロトニン分泌が促進され、気分の安定や安心感が得られる
このような心と体への作用を積み重ねることで、ストレスや不安による悪循環から少しずつ抜け出し、心の安定と前向きな気持ちを取り戻していけるのが、マインドフルネス呼吸法の大きな魅力です。
呼吸法の実践によってストレス反応が抑えられ、慢性的な不安や憂うつ感が和らぐという臨床研究結果もあります。習慣化することで、うつ状態の再発予防にも役立ちます。
その結果、以下のような効果が期待できます。
- ストレスや不安感が和らぐ
- イライラや怒りの感情が鎮まりやすくなる
- 集中力や判断力が高まる
- 心が穏やかになり、安心感が生まれる
- 眠りが深くなり、不眠の改善につながる
- うつ症状の軽減、予防効果
このように、マインドフルネス呼吸法は心と体の両面に作用し、毎日のセルフケアとしてとても優れた方法です。
心の効果
- 不安やイライラ、怒りを静める
- 気持ちが落ち着き、安心感が生まれる
- 集中力アップ
- うつ症状の軽減サポート
体の効果
- 自律神経の安定(副交感神経優位)
- 血圧や脈拍がゆるやかになる
- 筋肉の緊張がほぐれる
- 胃腸の働きが整う
脳科学の研究でも、呼吸に意識を向けることで脳の前頭前野(感情のコントロール・思考の調整)や扁桃体(不安・恐怖の反応)が安定することがわかっています。

自律神経を整えるマインドフルネスの実践方法
ゆっくり呼吸法の具体的なやり方
では、実際にマインドフルネス呼吸法を行う手順をご紹介します。とてもシンプルなので、誰でもすぐに実践できます。
1. 呼吸瞑想(マインドフルネス呼吸法)
・やり方
・静かな場所で楽な姿勢をとる(座っても横になってもOK)。
・目を閉じずに半開きの状況で、前をぼーっと見るイメージ。
・まず、自然の呼吸を感じる事からスタート。(無意識の呼吸を感じる)
・自然の呼吸とは、鼻からとか口からとかを意識しない呼吸。
・次に、静かにゆっくりと息を吐いていく。(4~6秒)
・そして、息を吸う。(1~2秒)
・ポイントは無理な呼吸はしない。(基本は自然の呼吸)
・これを体調にあわせて10分〜20分ほど繰り返す。
ポイント
- 呼吸に意識を向け、色々な思いが浮かんでも受容して呼吸に戻る。
- 「吸う息、吐く息」と心の中で唱えると集中しやすい。
呼吸法を効果的に行うコツ
呼吸法をより効果的に行うためには、いくつかのコツがあります。
- 吸うより吐く時間を長くする:吐く呼吸は副交感神経を優位にし、リラックス効果を高めます。
- 呼吸の音やお腹の動きに意識を向ける:体の内側に意識を向けることで、雑念から離れやすくなります。
- 無理をせず自分のペースで行う:苦しくなるほど呼吸を長くする必要はありません。自分が心地よいと感じるペースで行うことが大切です。
どんな時に行うと効果的か
マインドフルネス呼吸法は、日常のさまざまなシーンで活用できます。特におすすめなのは以下のタイミングです。
- 朝の目覚めたときに、1日のスタートを穏やかに切りたいとき
- 仕事や家事の合間に、気持ちを切り替えたいとき
- 緊張する会議やプレゼンの前、心を落ち着けたいとき
- イライラしたり不安を感じたりしたとき
- 就寝前、心と体を静めてぐっすり眠りたいとき
まとめ
マインドフルネスのゆっくり呼吸法は、今この瞬間に意識を戻し、ストレスや不安をやさしく和らげるセルフケアの基本です。特別な技術も器具もいりません。誰でもすぐに始められ、心と体のバランスを整えることができます。忙しい現代人にこそ取り入れてほしい、シンプルで効果的な習慣です。ぜひ、ご自身の生活の中に、この呼吸法を取り入れてみてください。きっと心の安らぎと、体の軽やかさを感じられるはずです。
マインドフルネスのエビデンス(効果の検証)
マインドフルメイトのエビデンス
マインドフルメイトでは、過去10年以上の活動データを基にエビデンスを制作しています。 その方たちは、うつ病や不安障害・パニック障害等の症状で悩む方々になります。 私たちは、それらの方々の苦しみの声に真摯に耳を傾け、その人・その人に相応しいマインドフルネスを提供してきました。
その結果が、10年間で600名以上になっていますのでその集約をマインドフルネスのエビデンスとしています。
以下をご覧ください。 (クリック)↓ https://mindfulmate.jp/evidence/
マインドフルメイトの相談会
マインドフルメイトでは、マインドフルネス心理療法を用いて、精神疾患の治療及び予防を行っています。 その対策や予防が出来ずに過ごしてしまうと症状が長引くと仕事ができない、思うことができないと苦悩したり、悪化すると自殺したい、消えたいなどの気持ちが出てくる人がいます。 マインドフルネス心理療法は、アメリカの臨床実験により、うつ病や不安障害やパニック障害やPTSD、摂食障害(拒食・過食)、依存症、家族の不和などに効果があることが確認されています。
以下をご覧ください。 (クリック)↓ https://mindfulmate.jp/conference/
この記事は以下の方が執筆しています。

佐藤福男
〇資 格 : マインドフルネス瞑想療法士(マインドフルネス総合研究所) マタニティー / 0才児 指導者資格(幼児開発協会) 一般旅行業取扱主任者(国家資格) 〇役 職: 非営利型一般社団法人マインドフルメイト代表理事・ マインドフルネス学校 学校長
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〇マインドフルネスの体験談 : https://mindfulmate.jp/experiences/
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