出会いは善縁にも悪縁にもなる─だからこそ大切にしたい心の姿勢
2025年7月5日

出会いは善縁にも悪縁にもなる─だからこそ大切にしたい心の姿勢
私たちの人生は、たくさんの「出会い」で形作られていきます。家族、友人、職場の人、偶然道で声をかけられた相手──そのひとつひとつの出会いが、時には人生を良い方向へ導いてくれる「善縁」となり、また時には傷ついたり、悩みの原因になる「悪縁」と感じることもあるでしょう。
では、どうして出会いは善縁にも悪縁にもなるのでしょうか。その理由と、私たちがどのように出会いと向き合っていけばいいのかを考えてみたいと思います。

出会いには「表」と「裏」がある
私たちは日々、さまざまな人と出会います。そのとき、「この人は良い人そうだな」「ちょっと苦手かも」と直感で感じることもあれば、特に何も思わず自然に過ぎていく出会いもあります。
けれど、その第一印象や表面的な関係性だけで、善縁か悪縁かを判断するのはとても危ういことです。なぜなら、すべての出会いには「表」と「裏」の顔があるからです。
目に見えるのは「表」だけ
初対面で感じる印象や、表面上の付き合い方は、いわば「出会いの表」の部分です。
その人の笑顔や親切な態度、会話の相性、共通の趣味などから「この人、いい人そうだな」と感じることもあるでしょう。
ですが、人の本質は時間とともに、さまざまな状況の中で少しずつ現れてくるもの。自分が弱っているとき、困っているとき、意見がぶつかったとき──そうした場面で相手の本当の姿や、自分に与える影響が見えてくるのです。
出会いの「裏」が見えるのは、時間と出来事の中で
例えば、最初は親切で信頼できると思った相手が、後になって支配的になったり、自分の都合だけで動くことが見えてくることもあります。また、逆に第一印象は悪かったけれど、困難なときにそっと手を差し伸べてくれる優しさを知ることもあります。
つまり、出会いには必ず「裏」の顔があり、それは一度や二度会っただけでは分からないものなのです。
この「裏」の部分には、その人の価値観、人生観、ストレスのかかったときの反応、他者への配慮の有無などが含まれています。
「表」を信じすぎず、「裏」を恐れすぎず
大切なのは、出会いの「表」ばかりを鵜呑みにして期待しすぎないことです。逆に「裏」が見えたときに、そのすべてを否定したり、恐れたりする必要もありません。
人には誰でも長所と短所、強さと弱さがあり、その両面を知ったうえで、どの距離感で付き合うのかを決めることが大切です。
たとえば、
- 表の顔しか知らずに深入りしすぎると、裏の顔に失望することがある
- 裏の顔を知っても、学びとして受け止め、適度な距離を保てば悪縁に振り回されずに済む
ということです。
出会いの「表」と「裏」をどう受け止めるか
ここで役立つのがマインドフルネス的な心の持ち方です。
誰かとの出会いで心が揺れたとき、その感情をすぐに「善」「悪」と判断するのではなく、「今、自分はこう感じたんだな」「この人にこういう面があるんだな」と、評価せずにありのままを受け止める。すると、その縁に振り回されることが減り、冷静に付き合う距離感を考えられるようになります。
善縁も悪縁も、自分を成長させてくれる大切な経験
出会いには「表」と「裏」があり、初対面の印象や短期間の関係だけでは、相手のすべてを知ることはできません。善縁に見えた縁が悪縁になることもあれば、悪縁だと思った縁が、後になって自分に大きな学びを与えてくれることもあります。
大切なのは、出会いの「表」も「裏」も受け止め、自分の心の状態をよく観察し、無理をせず自然な距離感で縁を育んでいくこと。そうすれば、善縁も悪縁も、自分を成長させてくれる大切な経験になっていくのです。

善縁と悪縁を決めるのは「相手」ではなく「自分」
人は誰しも「この人は良い縁」「あの人は悪い縁」と、出会った相手を評価したくなるものです。けれど本当は、その縁が善縁になるか悪縁になるかを決めているのは、相手ではなく自分自身の心のあり方です。
なぜなら、人との関わりの中で起きる出来事や感情は、相手の言動そのものよりも、自分がどう受け止め、どう解釈し、どう行動するかによって、意味づけが変わるからです。
同じ相手でも、受け止め方次第で善縁にも悪縁にもなる
たとえば、厳しく意見してくる上司がいたとします。
- 「なんて嫌な人だ」と感じるなら、それは悪縁。
- 「自分の欠点に気づかせてくれているのかもしれない」と受け止めれば、善縁。
同じ言葉、同じ態度でも、自分の心の姿勢によって、その出会いの意味がまったく変わってくるのです。
また、優しく接してくれる人も、依存や甘えの対象にしてしまえば、善縁のはずが悪縁に変わることもあります。「優しいから、つい頼りすぎてしまった」「相手に期待しすぎて傷ついた」という経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
相手は変えられないが、自分の受け止め方は変えられる
世の中にはいろいろな考え方、価値観を持った人がいます。相手の言動や態度をすべて自分の思い通りにすることはできません。けれど、その相手の言動を自分がどう受け止めるかは、いつでも自分自身で選ぶことができるのです。
もし、嫌な相手に出会ったとしても、
- その相手に振り回されるか
- そこから自分が学びを得るか
- 距離をとって自分を守るか
選択するのは自分です。その選択によって、その縁は善縁にも悪縁にも変わります。
善縁も悪縁も「我が師」になる
仏教の教えの中に**「良縁も悪縁も、すべて我が師」**という言葉があります。つまり、良い縁も悪い縁も、自分を成長させ、気づかせてくれる存在だということです。
善縁は心の癒しや励ましを与え、人生を豊かにしてくれます。
悪縁はときに心を傷つけ、苦しませますが、そこから自分の課題や弱さに気づくこともできるのです。
たとえば、「なぜ私はこの人にイライラするのだろう」「なぜこの人の言葉に傷ついたのか」と考えれば、自分の心のクセや苦手な感情と向き合う機会になります。

マインドフルネスで「受け止め方」を整える
マインドフルネスでは、物事をすぐに評価・判断せず、ありのままに観察することを大切にします。人との出会いも、「この人は良い」「悪い」とすぐに決めつけるのではなく、自分の心の動きを客観的に見つめ、「今、私はこの人に対してこう感じているんだな」とただ気づくのです。
そうすることで、感情に振り回されず、冷静に相手との関わり方を選べるようになり、縁に振り回されない自分を育てていくことができます。
出会いの質を決めているのは
出会いの善し悪しは、相手の人格や行動だけで決まるものではありません。
「その縁を自分がどう受け止め、どう意味づけするか」が、その出会いの質を決めているのです。
相手に期待しすぎず、振り回されず、自分の心のあり方を整えていくこと。そうすれば、たとえ困難な縁であっても、そこから学びを得て、自分をより良く成長させていけるでしょう。
そして何より、自分の心が穏やかであることが、善縁を呼び寄せ、悪縁を遠ざける一番の力になるのです。
悪縁だと感じたときの対処法
もちろん、心身を傷つけるような関係にまで耐える必要はありません。大切なのは、その縁から何を学び、自分をどう守るかという姿勢です。
もし、悪縁だと感じたときには──
- 距離をとる勇気を持つ
無理をして相手に合わせ続ける必要はありません。物理的にも心理的にも、まず自分を守ることを優先しましょう。 - 感情に飲み込まれず、自分の心の状態を観察する
「怒り」「悲しみ」「不安」をそのままにせず、今の自分がどう感じているのか、心の動きを丁寧に見つめてみましょう。 - その経験から自分が学べることを探す
なぜその出会いに苦しんだのか。どんな自分の考え方やクセが関わっていたのかを振り返ることで、次の出会いに生かすことができます。
善縁を大切に育てるには
良いご縁に出会えたときこそ、それを当たり前と思わず、感謝の気持ちを忘れないことが大切です。
また、相手に期待しすぎず、自分も相手も自然体でいられる関係を目指しましょう。お互いを認め合い、無理なく支え合える関係は、長い時間をかけて育まれていくものです。

マインドフルネスで「縁を味方にする心」を育てる
人との出会いは、人生に大きな影響を与えるものです。けれど、すべての出会いが心地よいものとは限りません。時には嬉しい善縁、時には苦しい悪縁、そしてどちらとも言えない微妙な縁もあります。
そんなさまざまな縁に対して、心を整え、上手に付き合い、自分の人生に活かしていく力を育てるのが、マインドフルネスの大きな役割のひとつです。
出会いに振り回されず、縁を見極める力をつける
私たちは、相手の言葉や態度、出来事にすぐ心が揺さぶられます。褒められれば嬉しくなり、傷つけられれば怒ったり落ち込んだり…。その感情に飲み込まれると、冷静な判断ができず、善縁を逃し、悪縁に振り回されてしまうこともあります。
そこで役立つのがマインドフルネスです。
マインドフルネスでは、まず自分の心の動きに気づくことを大切にします。
「今、自分はこの相手の言葉にイライラしているな」
「この人といると、なぜか焦ってしまう」
「この出会いに、期待しすぎているかもしれない」
こうした自分の感情や反応に気づくだけでも、心が整理され、落ち着いて相手との距離感を考えられるようになるのです。
善縁はより大切に、悪縁は学びに変える
マインドフルネスの実践を続けていると、次第に人との縁を**「善い」「悪い」とただジャッジするのではなく、その縁の意味を考え、必要以上に感情を乱されずに受け止められるようになります。**
たとえば、
- 善縁:相手の優しさや励ましに感謝し、その縁を大切に育てようとする余裕ができる。
- 悪縁:相手の言動にただ傷つくだけでなく、「自分がなぜこの人に反応してしまうのか」「ここから何を学べるだろう」と、ひと呼吸おいて考えられるようになる。
善縁をより善縁にし、悪縁も学びに変える心の力が、マインドフルネスによって養われていきます。
「今この瞬間」に意識を向けることで、縁を自然に味方につける
マインドフルネスの基本は**「今、この瞬間」に意識を向ける**こと。人間関係も同じで、「あのとき、こう言われた」「この人はきっと裏がある」「将来こうなるかもしれない」と、過去や未来の憶測に振り回されず、今の相手と、今の自分の気持ちに素直に向き合うことで、本当の縁の質が見えてきます。
そして、その場その場の自分の感情に気づき、無理をせず、心の余白をもって相手と接することができるようになると、不思議と良い縁が自然に残り、悪縁は自然に離れていくのです。

マインドフルネスで育つ4つの「縁を味方にする心」
マインドフルネスを習慣にすることで、以下のような心の力が育まれていきます。
- 気づく力
人との関係の中で、自分の感情の動きや相手の本質に気づくことができる。 - 受け止める力
善いも悪いも判断せず、今起きていることをありのままに受け入れられる。 - 距離を取る力
不快な縁には無理せず適切な距離をとり、自分を守ることができる。 - 感謝する力
善縁はもちろん、悪縁さえも「自分にとって必要な経験だった」と受け止め、感謝の気持ちを持てるようになる。
出会いは善縁にも悪縁にもなります。
けれど、その出会いをどう活かすか、どう向き合うかは、すべて自分の心のあり方次第です。良縁に感謝し、悪縁からも学びを得る。そうした姿勢が、あなたの人生を豊かにし、次の素晴らしい縁を呼び寄せてくれるはずです。
もし今、出会いに迷いや不安を感じているなら、マインドフルネスの習慣を始めてみませんか。心を整え、出会いを味方につけるコツを、あなたもきっと掴めるはずです。
マインドフルメイトの相談会
うつ病の背景には、脳の機能的な変化があり、そこに働きかける手段の一つとしてマインドフルネスが注目されています。薬物療法やカウンセリングと併用しながら、日常に少しずつマインドフルネスを取り入れていくことで、再発予防や回復力の向上に大きな助けとなるでしょう。
脳は変わる。そして私たちの感じ方や考え方もまた、変わっていける。マインドフルネスは、その変化の一歩を静かに後押ししてくれる存在です。
マインドフルメイトでは、マインドフルネス心理療法を用いて、精神疾患の治療及び予防を行っています。その対策や予防が出来ずに過ごしてしまうと症状が長引くと仕事ができない、思うことができないと苦悩したり、悪化すると自殺したい、消えたいなどの気持ちが出てくる人がいます。マインドフルネス心理療法は、アメリカの臨床実験により、うつ病や不安障害やパニック障害やPTSD、摂食障害(拒食・過食)、依存症、家族の不和などに効果があることが確認されています。
以下をご覧ください。(クリック)↓ https://mindfulmate.jp/conference/
マインドフルネスのエビデンス(効果の検証)
マインドフルメイトでは、過去10年以上の活動データを基にエビデンスを制作しています。その方たちは、うつ病や不安障害・パニック障害等の症状で悩む方々になります。私たちは、それらの方々の苦しみの声に真摯に耳を傾け、その人・その人に相応しいマインドフルネスを提供してきました。
その結果が、10年間で600名以上になっていますのでその集約をマインドフルネスのエビデンスとしています。
以下をご覧ください。(クリック)↓ https://mindfulmate.jp/evidence/
この記事は以下の方が執筆しています。
この記事は私が執筆しています。
佐藤福男
〇資 格 : マインドフルネス瞑想療法士(マインドフルネス総合研究所) マタニティー / 0才児 指導者資格(幼児開発協会) 一般旅行業取扱主任者(国家資格) 〇役 職: 非営利型一般社団法人マインドフルメイト代表理事・ マインドフルネス学校 学校長
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