マインドフルネスにおける「受容」の重要性と注意点
2025年3月20日

マインドフルネスにおける「受容」の重要性と注意点
マインドフルネスの基本には、「今この瞬間に意識を向けること」と「評価を加えずにその瞬間をそのまま受け入れること」があります。この「受容」は、マインドフルネスを実践する上で非常に重要な要素です。特に、うまくマインドフルネスが継続できない、心が乱れることがある、ストレスを感じやすいといったケースでは、「受容」が不十分であることが原因であることが少なくありません。
「受容」とは、自分の感情や思考、体の感覚、そして周囲の状況をあるがままに受け入れることを指します。良い・悪いと評価を下したり、何とかして変えようとしたりするのではなく、「今、ここ」にある状態をそのまま認識し、それを受け止めることが重要です。しかし、実践していく中で「受容」が誤った方向に向かってしまうこともあります。受容を正しく理解し、実践するためには、以下のようなポイントに注意する必要があります。
1. 「受容=あきらめ」ではないことを理解する
「受容する」と聞くと、「その状態を受け入れる=あきらめる」という誤解を持つことがあります。しかし、受容とは「現状をそのまま認識し、評価を加えずに受け止めること」であり、「状況を変えようとする努力を放棄すること」ではありません。
たとえば、職場でストレスを感じている場合、「このストレスを受け入れる」とは「ストレスを感じている自分」を認めることですが、「この状況を改善する努力を放棄すること」ではありません。自分の心の状態を冷静に観察し、「ああ、自分は今ストレスを感じているんだな」と受け止めることで、感情に振り回されることなく冷静な判断ができるようにな

2. ネガティブな感情を否定しない
マインドフルネスに取り組む中で、「怒り」「悲しみ」「不安」「恐れ」といったネガティブな感情が湧き上がることがあります。これらを「よくない感情」として排除しようとしたり、「感じてはいけない」と思ったりすると、心に抵抗が生じ、かえってストレスが増してしまいます。
受容とは、ポジティブな感情だけを受け入れるのではなく、ネガティブな感情も含めて「自分に今ある感情をそのまま感じ取ること」です。「私は今、不安を感じている」「怒りが湧いてきている」と心の中で静かに認めることで、感情に対するコントロールがしやすくなります。
3. 「あるがまま」を受け入れるが、行動を制限しない
受容は「現状をそのまま受け入れること」ですが、それによって「自分の行動を制限すること」ではありません。
たとえば、「自分は緊張している」という状態を受け入れたうえで、「だから挑戦しない」というのは受容ではなく、あきらめに近いものです。受容は「今、自分は緊張している」という事実を認めたうえで、「でも、自分ができる範囲でチャレンジしてみよう」と柔軟に対応することが重要です。

4. 「受容」と「共感」の違いを理解する
「受容」は自分の感情や思考、身体感覚をそのまま受け止めることですが、「共感」は他者の気持ちに寄り添うことを指します。この二つは似ているようで異なるものです。
たとえば、他者が「つらい」と訴えたときに「受容」は「その人がつらいと感じている事実を認めること」です。一方、「共感」は「その人のつらさを理解し、寄り添うこと」です。マインドフルネスにおける受容は、必ずしも他者に対して共感を強要するものではありません。自分自身の感情をまず受容し、その上で他者への共感を選択することが大切です。
5. 「受容」が自己正当化につながらないように注意する
「受容」を誤解してしまうと、「これが自分だから仕方がない」「自分はこういう人間だから」と、自分の問題や課題に対して消極的になってしまうことがあります。
受容とは「現状を認めること」であり、「現状をそのまま維持すること」ではありません。自分の弱さや失敗を受け入れた上で、「では、どうしたら自分にとって良い方向に進めるか」を冷静に考える姿勢が大切です。

6. 「受容」は自分を責める材料にしない
「自分を受け入れなければならないのに、できていない」と感じて、自分を責めてしまうケースもあります。マインドフルネスの受容は「できている・できていない」を評価するものではありません。
「自分はまだ受容ができていない」と感じたときには、その感情も含めて受け入れることが重要です。「受容ができていない自分」を否定するのではなく、「受容できていないと感じている自分も、今の自分の状態である」と認めることが、マインドフルネスの本質につながります。
7. 「結果」への執着を手放す
「受容すればストレスが減るはず」「受容すれば気持ちが楽になるはず」といった期待が強すぎると、結果に執着してしまい、受容が難しくなります。
マインドフルネスの受容は「結果」ではなく「プロセス」を重視します。「受容することで結果がどうなるか」は考えず、「今の自分の状態をそのまま受け入れること」に集中することで、自然と心が整っていくことが多いのです。

マインドフルネスの受容のむずかしさ
マインドフルネスの受容のむずかしさの大きな理由は、「受け入れる」という考え方が一般的に馴染みがないからです。普段の生活では、「問題があれば解決する」「嫌な気持ちはなくすべき」と考えるのが普通ですが、マインドフルネスはこれとは逆の考え方だからです。
1. すぐに良くなろうとする習慣
私たちは「早く結果を出す」「すぐに解決する」ことに慣れています。でもマインドフルネスは、「すぐに良くなろう」とせずに、「今ある状態をそのまま受け入れる」ことが大切です。このギャップが、最初は受け入れにくく感じる原因になります。
2. 嫌な感情を受容する事が難しい
不安や怒り、悲しみなどの感情が出てきたとき、普通は「消したい」「なくしたい」と思います。でもマインドフルネスでは、それらの感情を「良い・悪い」と判断せず、「そう感じている自分がいる」とただ観察します。この考え方に抵抗を感じる人が多いです。
3. 「受け入れる=あきらめる」と思ってしまう
「受け入れる」と聞くと、「問題を放置する」「あきらめる」と思ってしまいがちです。でもマインドフルネスの「受け入れる」は、ただ現状を認めることであって、何もしないことではありません。むしろ受け入れることで、冷静に状況を見つめられるようになります。
4. 「正しくやらなきゃ」と思ってしまう
マインドフルネスは「正しくやろう」としなくても大丈夫です。うまくできなくても、「できていない自分」をそのまま受け入れることが大切です。でも、「ちゃんとやらなきゃ」「間違えたらダメ」と思ってしまい、うまくいかないと感じる人が多いです。
5. 習慣になりにくい
忙しい毎日の中で、マインドフルネスの時間を取るのは難しいものです。最初は「効果がわからない」と感じやすいため、続ける前にやめてしまいやすいです。
ポイント⇒「受け入れる」ことは、普段の考え方や習慣と真逆なので、最初は違和感を感じるのが普通です。焦らず、少しずつ慣れていくことが大切です。
まとめ
マインドフルネスにおける「受容」は、「状況をそのまま受け入れる」ことであり、現状を諦めたり、行動を制限したりすることではありません。ネガティブな感情も含めて、自分の内面をあるがままに受け止めることで、ストレスや不安を減らし、冷静な判断や柔軟な対応が可能になります。受容を通じて自分自身を理解し、結果にとらわれずに「今この瞬間」を受け入れることが、心の安定と成長につながるのです。

マインドフルネスのエビデンス(効果の検証)
マインドフルメイトのエビデンス
マインドフルメイトでは、過去10年以上の活動データを基にエビデンスを制作しています。 その方たちは、うつ病や不安障害・パニック障害等の症状で悩む方々になります。 私たちは、それらの方々の苦しみの声に真摯に耳を傾け、その人・その人に相応しいマインドフルネスを提供してきました。
その結果が、10年間で600名以上になっていますのでその集約をマインドフルネスのエビデンスとしています。
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マインドフルメイトでは、マインドフルネス心理療法を用いて、精神疾患の治療及び予防を行っています。 その対策や予防が出来ずに過ごしてしまうと症状が長引くと仕事ができない、思うことができないと苦悩したり、悪化すると自殺したい、消えたいなどの気持ちが出てくる人がいます。 マインドフルネス心理療法は、アメリカの臨床実験により、うつ病や不安障害やパニック障害やPTSD、摂食障害(拒食・過食)、依存症、家族の不和などに効果があることが確認されています。
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この記事は以下の方が執筆しています。

佐藤福男
〇資 格 : マインドフルネス瞑想療法士(マインドフルネス総合研究所) マタニティー / 0才児 指導者資格(幼児開発協会) 一般旅行業取扱主任者(国家資格) 〇役 職: 非営利型一般社団法人マインドフルメイト代表理事・ マインドフルネス学校 学校長
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