マインドフルネスで自己嫌悪を回避する5つの方法
2025年6月9日

マインドフルネスで自己嫌悪を回避する5つの方法
私たちは誰でも、時には自分に対して厳しくなりすぎたり、「自分なんてダメだ」と責めてしまうことがあります。そんな自己嫌悪の気持ちは、心の重荷になり、気力や自信を奪ってしまいます。
でも、マインドフルネスを取り入れることで、その自己嫌悪のループから少しずつ抜け出すことができるのです。
ここでは、マインドフルネスを使って自己嫌悪を回避するための5つの方法をご紹介します。難しいことはありません。少しずつ、できることから取り入れてみてください。

自己嫌悪がいけない理由
「自己嫌悪はなぜいけないのか」――これをきちんと整理しておくことは、とても大切です。
実は自己嫌悪自体が「悪いもの」なのではなく、行き過ぎた自己嫌悪が私たちの心と体に大きな負担をかけてしまうからなのです。以下にわかりやすくお伝えしますね。
心のバランスが崩れるから
自己嫌悪とは、自分自身を過度に否定し、「自分はダメだ」「価値がない」と思い込んでしまう心の状態です。
この状態が続くと、自分を信じる力や自尊心が弱まり、心のバランスが崩れてしまいます。心が不安定になると、些細なことにも傷つきやすくなり、落ち込みやすくなってしまうのです。
脳と体にストレスをかけるから
自己嫌悪に陥ると、脳は「危険な状況」と判断し、ストレスホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌されます。
この状態が続くと、睡眠障害、疲労感、集中力の低下、免疫力の低下など、心だけでなく体にも悪影響を及ぼします。
さらに、脳の扁桃体(不安や恐怖を感じる部分)が過敏になり、前頭前野(冷静に考える部分)の働きが低下し、ますますネガティブな考えにとらわれやすくなるのです。

行動を萎縮させ、可能性を奪ってしまうから
自己嫌悪が強いと、「どうせ自分にはできない」「やっても無駄だ」と考え、行動する勇気が持てなくなります。
新しいことに挑戦したり、人と関わることを避けるようになり、自分の可能性を狭めてしまうのです。
本来ならできるはずのことも、自己嫌悪によって自分でチャンスを手放してしまうことになり、結果的にさらに「自分はダメだ」と思い込む負のループにはまってしまいます。
人間関係にも悪影響を及ぼすから
自己嫌悪が強いと、人と関わるときにも「嫌われるのでは」「迷惑をかけてしまうのでは」と不安になり、素直に接することができなくなります。
その結果、孤立感や孤独感が強まり、人間関係のトラブルにもつながりやすくなります。
自分を否定しすぎると、人の好意も素直に受け取れず、助けを求めることも難しくなるため、ますます孤立してしまうことがあります。
まとめ
自己嫌悪は、一時的に「反省」や「自分を律するきっかけ」になることもありますが、行き過ぎると心と体、行動、人間関係に悪い影響を与えてしまいます。
自己嫌悪がいけない理由 | 結果 |
---|---|
心のバランスが崩れる | 不安・落ち込み・自己肯定感の低下 |
脳と体にストレスを与える | 睡眠障害・疲労感・免疫力低下 |
行動が萎縮する | 新しい挑戦を避け、可能性を狭める |
人間関係を悪化させる | 孤独感・孤立・人と距離を取 |
大切なのは、自己嫌悪の感情を否定することではありません。
「そう感じることもあるよね」と認めながら、必要以上に自分を責めず、やさしく受け止めることが心の健康にはとても大切なのです。
マインドフルネスは、そのためのとても良い方法です。自己嫌悪をゼロにすることはできなくても、それとうまく付き合い、心を楽にする習慣を身につけていくことができますよ。

自己嫌悪を回避する5つの方法
1,まずは「今の気持ちに気づく」
自己嫌悪に陥っているとき、多くの人はその感情に気づかないまま、ただ苦しい状態の中でもがいてしまいます。
そんなときは、まず自分の今の気持ちを**「あ、自己嫌悪してるな」「なんだか胸がモヤモヤしてるな」**と、そのまま言葉にしてみましょう。
不思議なことに、自分の気持ちを言葉にして認めるだけで、その感情との間に少し距離ができて、心が落ち着いてきます。感情に名前をつけることは、マインドフルネスの基本的な方法のひとつです。
今の気持ちに気づく「ラベリング」
自己嫌悪の感情が出てきたとき、「うわ、また自己嫌悪してる」と自動的に反応してしまうのではなく、まずは自分の感情に名前をつけてみましょう。
例:
- 「あ、今わたし『自己嫌悪』を感じてるな」
- 「モヤモヤしてるな」
- 「怒ってるんだな」
気づいて名前をつけるだけで、その感情との距離が少しできて、飲み込まれにくくなります。

2.感情を「良い・悪い」と判断しない
私たちはふだん、感じたことに対してすぐ「これは良くない」「こう思っちゃダメだ」と判断してしまいがちです。でも、マインドフルネスでは、今の感情を良し悪しで決めずに、ただ「そう感じている自分がいる」と受け止めることを大切にします。
たとえば「私はダメだ」と感じたとき、「私は今、ダメだと感じているんだな」と言い換えてみましょう。
ただそれだけで、思考に巻き込まれすぎず、気持ちに余裕が生まれます。評価せず、ありのままの自分を受け止めることは、心の重荷を軽くする大切なステップです。
「評価しない意識」をもつ
マインドフルネスでは、感情や出来事を「良い・悪い」で判断せず、ただ「そう感じてるんだな」と受け止める練習をします。
例:
- 「私はダメだ」→「私は今、ダメだと感じてるんだな」
- 「嫌われたに違いない」→「そう思っている自分がいるんだな」
評価を手放すと、自己嫌悪のスパイラルから抜け出しやすくなります。

3.呼吸に意識を向けてみる
自己嫌悪の感情が強くなると、頭の中はそのことばかり考え、どんどん苦しくなってしまいます。そんなときは、呼吸に意識を戻すことを意識してみましょう。
深呼吸しなくても大丈夫。ただ、鼻から入る空気の感覚や、胸やお腹がふくらんで、ゆっくりしぼんでいく様子に注意を向けてみてください。
数回、呼吸の動きを感じるだけで、不安や自己嫌悪から少し距離を取ることができます。これも、マインドフルネスのシンプルで効果的な方法です。
呼吸に意識を戻す
自己嫌悪の感情に巻き込まれそうになったら、自分の呼吸を観察することに意識を向けましょう。
方法:
- 鼻から息が入って、胸やお腹がふくらみ
- ゆっくり息が出ていくのを感じる
数呼吸だけでも、ネガティブな思考から心を離すことができます。

4.自分にやさしい言葉をかける
自己嫌悪にとらわれると、つい自分を責める言葉ばかりが浮かんできます。「何やってるんだ」「また失敗した」「私は価値がない」――そんな言葉に苦しんでしまうのです。
そこで、意識して自分にやさしい言葉をかけてみることを試してみましょう。「今つらいよね」「大丈夫だよ」「みんなそんなときあるよ」と、自分をいたわるように声をかけるのです。
最初はぎこちなく感じるかもしれませんが、繰り返すうちに少しずつ心がやわらかくなり、自己嫌悪の気持ちもやさしく包まれていきます。マインドフルネスとセルフ・コンパッション(自分への思いやり)は、とても相性の良い心のケア方法です。
自己へのやさしさを育てる
自己嫌悪を感じたとき、自分にやさしい言葉をかけてあげましょう。
例:
- 「今、つらいよね」
- 「誰だってそんな時あるよ」
- 「私は今、頑張ってるんだ」
マインドフルネスとセルフ・コンパッションはとても相性が良く、自分を責めずに受け止める力を育てます。

5.「今、この瞬間」に意識を戻す
自己嫌悪は、過去の失敗や未来への不安を思い返しているときに強くなります。
「あのとき、あんなことを言わなければよかった」「きっとこの先も失敗するに違いない」――そんな考えがぐるぐる頭の中をめぐるのです。
そんなときは、意識を「今、この瞬間」に戻してみましょう。手のひらの感覚を感じる。
周囲の音に耳を傾ける。空の色や光の加減に目を向ける。たったそれだけでも、心は過去や未来から離れ、穏やかさを取り戻せます。
「今ここ」を感じることが、自己嫌悪を回避する大きな助けになります。
「今ここ」に意識を戻す習慣をつける
自己嫌悪は多くの場合、「過去の失敗」や「未来への不安」にとらわれたときに起こります。
そんなとき、今この瞬間に戻ることを意識しましょう。
方法:
- 手のひらの感覚を感じる
- 聞こえる音に意識を向ける
- 周囲の景色をゆっくり眺める
「今ここ」に意識を戻すだけで、自己嫌悪に飲み込まれにくくなります。

おわりに
自己嫌悪に苦しんだときこそ、マインドフルネスの出番です。
大切なのは「何とかしなきゃ」と無理をするのではなく、「今の自分はそう感じているんだな」と受け止めてあげること。
そして少しずつ呼吸や感覚に意識を向け、自分にやさしい言葉をかける。そんな小さな心の動きが、自己嫌悪のループから抜け出すきっかけになります。
一度にすべてを完璧にやろうとしなくても大丈夫です。気がついたときに、ほんの少し「今ここ」に戻ってみる。
その積み重ねが、心を軽くし、自分を受け入れる力を育ててくれるはずです。
まとめ
方法 | 効果 |
---|---|
今の気持ちに気づく | 感情との距離ができる |
評価しない意識 | 思考の渦から抜け出せる |
呼吸に意識を戻す | ネガティブ思考から離れる |
自己へのやさしさ | 自己嫌悪を和らげる |
今ここに戻る習慣 | 過去・未来思考を減らす |
もしよければ、この5つの方法を気楽に一つずつ試してみてくださいね。
「できた」「できない」も気にせず、今の自分に気づくこと自体がマインドフルネスですから
マインドフルメイトの相談会
うつ病の背景には、脳の機能的な変化があり、そこに働きかける手段の一つとしてマインドフルネスが注目されています。薬物療法やカウンセリングと併用しながら、日常に少しずつマインドフルネスを取り入れていくことで、再発予防や回復力の向上に大きな助けとなるでしょう。
脳は変わる。そして私たちの感じ方や考え方もまた、変わっていける。マインドフルネスは、その変化の一歩を静かに後押ししてくれる存在です。
マインドフルメイトでは、マインドフルネス心理療法を用いて、精神疾患の治療及び予防を行っています。その対策や予防が出来ずに過ごしてしまうと症状が長引くと仕事ができない、思うことができないと苦悩したり、悪化すると自殺したい、消えたいなどの気持ちが出てくる人がいます。マインドフルネス心理療法は、アメリカの臨床実験により、うつ病や不安障害やパニック障害やPTSD、摂食障害(拒食・過食)、依存症、家族の不和などに効果があることが確認されています。
以下をご覧ください。(クリック)↓ https://mindfulmate.jp/conference/
マインドフルネスのエビデンス(効果の検証)
マインドフルメイトでは、過去10年以上の活動データを基にエビデンスを制作しています。その方たちは、うつ病や不安障害・パニック障害等の症状で悩む方々になります。私たちは、それらの方々の苦しみの声に真摯に耳を傾け、その人・その人に相応しいマインドフルネスを提供してきました。
その結果が、10年間で600名以上になっていますのでその集約をマインドフルネスのエビデンスとしています。
以下をご覧ください。(クリック)↓ https://mindfulmate.jp/evidence/
この記事は以下の方が執筆しています。
佐藤福男
〇資 格 : マインドフルネス瞑想療法士(マインドフルネス総合研究所) マタニティー / 0才児 指導者資格(幼児開発協会) 一般旅行業取扱主任者(国家資格) 〇役 職: 非営利型一般社団法人マインドフルメイト代表理事・ マインドフルネス学校 学校長
【リンクのご案内】
〇カウンセラー・佐藤さんに聞く「マインドフルネス」実践と“想い”
https://mindfulmate.jp/practice-of-mindfulness-and-feelings/
〇うつ病や不安障害を乗り越えた体験談
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〇マインドフルネス相談会のご案内 IN東京都・愛知県・山梨県
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〇マインドフルネスのエビデンス / 調査・研究・活動の報告
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