マインドフルネスが脳に与える影響について、

2025年5月20日

マインドフルネスが脳に与える影響について、

うつ病が発症してしまうプロセス

うつ病を発症すると、日々の様々な生活やお仕事や家事・育児等の事に支障をきたして来ます。そこで、日々の生活に支障をきたさない様に努力して行きます。その事が上手く対処出来るとうつ病は改善に向かって行きます。

ところが、上手く対処出ないと更にその事を繰り返して行きます。また、上手く対処出来ない事を嫌悪してしまいます。そして、そんな自分を嫌悪する事を結果として繰り返してしまいます。

その事を、知らず知らずのうちに繰り返してしまう結果として、交感神経が活発になってしまいます。

交感神経が活発になって行く事により、時としてストレスホルモンの可分泌が起きてしまうと、身体的な症状(眠れない・ドキドキする・痛み等々)の症状が起きて来ます。また、過度に出されたストレスホルモンが血液に乗って頭の中に入って行きます。私たちの頭の中は大切な場所ですので、本来は外からの侵入物は許さない構造になっていますが、何故かストレスホルモンは頭の中に入り脳細胞に影響を及ぼして行きます。

その結果として、脳細胞に変調をきたす事になって行きます。その時に脳細胞に大きく影響を及ぼすのが「前頭前野・扁桃体・海馬」と言われています。

うつ病に深く関係する「前頭前野・扁桃体・海馬」

「心の病」として捉えられてきたうつ病ですが、近年では「脳の機能的な変化を伴う疾患」として理解されるようになっています。特に、感情のコントロールや記憶、思考、ストレス反応に関係する脳の特定の部位が、うつ病の発症や持続に深く関与していることが明らかになってきました。

そうした中で注目されているのが、「マインドフルネス(mindfulness)」の脳への作用です。マインドフルネスとは、「今この瞬間に注意を向け、評価や判断を加えずに気づきを持ち続ける心の状態」のこと。瞑想や呼吸法、ボディスキャンなどの実践を通じて、この状態を育てていきます。

以下では、うつ病と関わりの深い脳の3つの部位、すなわち「前頭前野」「扁桃体」「海馬」に焦点を当てながら、マインドフルネスの脳科学的効果について詳しく見ていきましょう。


前頭前野への影響

前頭前野は思考と感情調整の司令塔

前頭前野は、論理的思考、自己制御、感情のコントロール、注意の集中といった高次機能を担う脳の部位です。うつ病ではこの領域の活動が低下しやすく、ネガティブな自動思考にとらわれたり、感情のブレーキがきかなくなるといった症状が見られます。

働き:思考・自己制御・感情調整・集中力などを担う中枢

うつ病では?

  • 活動が低下し、「ネガティブ思考」や「感情のコントロール困難」が起きやすい

マインドフルネスの影響

  • 前頭前野の血流や神経活動を活性化させる
  • 意識的に「今、ここ」に注意を向けることで、「自動思考のループ」から脱する手助けになる
  • 瞑想習慣のある人のMRI画像では、前頭前野の灰白質の密度が高いという報告も

マインドフルネス瞑想は、この前頭前野を活性化させることが報告されています。たとえば、意識的に呼吸に注意を向ける、雑念に気づいて再び呼吸に戻るという一連の行為は、前頭前野の働きを使うトレーニングそのものです。MRI研究では、マインドフルネスを日常的に実践している人の前頭前野において、灰白質の密度が増していることが確認されています。

このような変化は、ネガティブな思考に飲み込まれる前に立ち止まり、現実を冷静に見つめ直す力、「気づきの力」として実感されるようになります。

効果実感

  • 「気づいて立ち止まれる」ようになる
  • 感情に振り回される前に冷静に対応できる力が戻ってくる

扁桃体への影響

扁桃体は、恐怖や怒り、不安などの情動に強く関わる脳の部位です。うつ病や不安障害では、扁桃体の活動が過剰になりやすく、ちょっとした出来事にも大きく動揺したり、慢性的な不安感を抱えやすくなります。

働き:不安・恐怖・怒りなどの“情動”を司る中枢

うつ病では?

  • 過剰に活動している状態になることが多く、心配やイライラが止まらなくなる

マインドフルネスの影響

  • 扁桃体の過活動を抑える方向に作用
  • 特に「呼吸瞑想」や「ボディスキャン」などで、「今の身体感覚」に注意を向ける練習が有効
  • 長期的には扁桃体のサイズが縮小する可能性も報告されている(慢性ストレスの軽減と関連)

マインドフルネス実践は、この扁桃体の過活動を抑える効果があるとされています。特に、ボディスキャンや呼吸瞑想などで身体感覚に意識を向けることで、扁桃体の過剰な情動反応が鎮まりやすくなります。さらに、ハーバード大学の研究では、8週間のマインドフルネスプログラムにより、扁桃体の体積が縮小したという報告もあります。

この変化は、実生活では「不安が襲ってきても、少しずつ冷静でいられる時間が増えてきた」「怒りの感情を一呼吸置いて眺められるようになった」といった形で現れてきます。

効果実感

  • 不安や怒りが少しずつ「波のようにやり過ごせる」ようになってくる
  • 自分の感情を外から眺められる「観察者の視点」が育つ

海馬への影響

海馬は、新しい記憶の形成や学習に関わるほか、ストレスに対してブレーキをかける役割も果たしています。ところが慢性的なストレスやうつ状態では、ストレスホルモンであるコルチゾールの影響で海馬が萎縮し、記憶力の低下や集中困難といった症状につながることがあります。

働き:記憶の統合・学習・ストレスの抑制

うつ病では?

  • ストレスホルモン(コルチゾール)の影響で萎縮しやすい
  • 記憶力や集中力が落ちやすくなる

マインドフルネスの影響:

  • 海馬の灰白質の密度を増やす(瞑想習慣者で確認されたMRI研究あり)
  • ストレス反応(コルチゾール分泌)を抑えることで、海馬の回復を促進
  • 特に「やさしい呼吸観察」や「感謝の瞑想」などが有効

マインドフルネス瞑想は、この海馬の機能を回復させる可能性が示されています。複数の研究で、マインドフルネス実践により海馬の灰白質密度が増加したと報告されており、これは神経細胞の再生(神経可塑性)に寄与している可能性があります。また、瞑想によってストレスへの反応が穏やかになり、コルチゾールの分泌が抑えられることも海馬の保護に繋がります。

こうした変化は、「頭の中のもやもやが少しずつ晴れてきた」「考えをまとめるのが楽になった」といった日常的な改善感覚につながっていきます。

効果実感:

  • 頭の中の“もや”が少しずつ晴れてくる
  • 「思い出す」「考える」が楽になる感覚が戻ってくる

マインドフルネスは「脳を回復に向けて再調整する力

マインドフルネスは単なるリラクゼーションではなく、脳の機能を整える“自己調整のトレーニング”でもあります。前頭前野を活性化し、扁桃体の過活動を抑え、海馬の回復を促進する──このようにマインドフルネスは、うつ病でバランスを崩した脳のネットワークに、穏やかに働きかけてくれます。

特に注目すべきは、毎日10分〜20分程度の簡単な実践でも、数週間で脳に変化が起こり得るという研究結果があることです。つまり、特別な道具もスキルもいらず、誰もが少しずつ、自分の脳をケアし、回復の方向に向かわせる力を育むことができるのです。

脳部位マインドフルネスの効果うつ改善への期待
前頭前野活性化、集中・感情調整力の回復ネガティブ思考の抑制、自己肯定感の再構築
扁桃体過活動の抑制、情動反応の調整不安・イライラ・緊張の軽減
海馬灰白質増加、ストレス耐性向上記憶力・意欲・落ち着きの回復

補足:科学的根拠について

  • 代表的な研究:Sara Lazar 博士(ハーバード大)によるMRI研究(2011年〜)
    • 8週間のマインドフルネス実践により、扁桃体の縮小前頭前野・海馬の灰白質増加が確認された
  • その他:Jon Kabat-Zinn博士の「MBSR(マインドフルネスストレス低減法)」が多くの臨床研究でうつ・不安症に効果を示す

マインドフルメイトの相談会

うつ病の背景には、脳の機能的な変化があり、そこに働きかける手段の一つとしてマインドフルネスが注目されています。薬物療法やカウンセリングと併用しながら、日常に少しずつマインドフルネスを取り入れていくことで、再発予防や回復力の向上に大きな助けとなるでしょう。

脳は変わる。そして私たちの感じ方や考え方もまた、変わっていける。マインドフルネスは、その変化の一歩を静かに後押ししてくれる存在です。

マインドフルメイトでは、マインドフルネス心理療法を用いて、精神疾患の治療及び予防を行っています。その対策や予防が出来ずに過ごしてしまうと症状が長引くと仕事ができない、思うことができないと苦悩したり、悪化すると自殺したい、消えたいなどの気持ちが出てくる人がいます。マインドフルネス心理療法は、アメリカの臨床実験により、うつ病や不安障害やパニック障害やPTSD、摂食障害(拒食・過食)、依存症、家族の不和などに効果があることが確認されています。

以下をご覧ください。(クリック)↓ https://mindfulmate.jp/conference/

マインドフルネスのエビデンス(効果の検証)

マインドフルメイトでは、過去10年以上の活動データを基にエビデンスを制作しています。その方たちは、うつ病や不安障害・パニック障害等の症状で悩む方々になります。私たちは、それらの方々の苦しみの声に真摯に耳を傾け、その人・その人に相応しいマインドフルネスを提供してきました。

その結果が、10年間で600名以上になっていますのでその集約をマインドフルネスのエビデンスとしています。

以下をご覧ください。(クリック)↓ https://mindfulmate.jp/evidence/

この記事は以下の方が執筆しています。

佐藤福男

〇資 格 : マインドフルネス瞑想療法士(マインドフルネス総合研究所)  マタニティー / 0才児 指導者資格(幼児開発協会)  一般旅行業取扱主任者(国家資格)  〇役  職: 非営利型一般社団法人マインドフルメイト代表理事・ マインドフルネス学校 学校長

【リンクのご案内】

〇カウンセラー・佐藤さんに聞く「マインドフルネス」実践と“想い”

https://mindfulmate.jp/practice-of-mindfulness-and-feelings/

〇うつ病や不安障害を乗り越えた体験談

https://mindfulmate.jp/impressions-after-the-mindfulness-session/

〇マインドフルネス相談会のご案内 IN東京都・愛知県・山梨県

https://mindfulmate.jp/conference/

〇マインドフルネスのエビデンス / 調査・研究・活動の報告

https://mindfulmate.jp/evidence/

〇マインドフルメイトのサイトマップ

https://mindfulmate.jp/サイトマップ