うつ病や不安症の方へ|症状の悪化を予防する猛暑・酷暑の対処法

2025年8月2日

日本の夏は年々厳しさを増し、連日35度を超える猛暑や酷暑が日常化しています。 このような過酷な環境は、私たちの身体だけでなく、心にも強い影響を及ぼします。 特にうつ病や不安症を抱えている方にとっては、日々の気温や湿度の変化が、症状の悪化や再発の引き金になることも少なくありません。

この文章では、うつ病や不安症の悪化を防ぐための「具体的な予防策」に焦点を当てながら、日々の生活の中でどのように心と身体を守っていけるかについて、丁寧にご紹介いたします。


うつ病や不安症の方へ|症状の悪化を予防する猛暑・酷暑の対処法

まず知っておきたい「暑さ」と「メンタルヘルス」の関係

うつ病や不安症の症状は、季節の影響を受けやすい特徴があります。 特に夏の高温多湿は、以下のような形で症状に影響を及ぼします。

  • 睡眠の質が低下することで、気分の波が激しくなる

  • 食欲不振や脱水症状が集中力や意欲の低下につながる

  • 不安症の方は動悸・息苦しさ・めまいなどの身体症状が悪化しやすくなる

  • 暑さのストレスにより感情が不安定になりやすくなる

こうした背景から、夏を迎えるにあたっては、意識的に「予防的ケア」を取り入れることが、症状の安定につながります。

予防策:気温・湿度の影響から心身を守る

■ 室温・湿度管理は“こころ”のケアにもつながる

高温多湿な環境下では、体温調節機能が乱れ、自律神経が不安定になります。 これがイライラや不安、疲労感の増大へとつながります。 以下の工夫が大切です。

  • エアコンは躊躇せず使用し、室温は26〜28℃を目安に

  • 湿度は50〜60%前後に保つよう、除湿機やサーキュレーターを活用

  • 冷気が苦手な方は扇風機や冷感寝具で間接的に涼しさを取り入れる

「冷えすぎは苦手だから」と冷房を避けることで、実は身体が慢性的に疲れてしまい、症状の悪化を招いてしまうこともあります。 体を“無理させない”環境づくりは、メンタルの安定にも直結するのです。

■ 熱中症予防=症状予防

うつや不安症の方は、自覚的な不調を訴えにくい場合もあり、熱中症の初期サインを見逃してしまうことがあります。以下の習慣を意識しましょう。

  • 起床後すぐ、日中、入浴後などに定期的な水分補給(コップ1杯ずつ)

  • **水分と塩分(ミネラル)**が同時に取れる麦茶や経口補水液の活用

  • 暑い日は外出を控え、日陰や涼しい屋内で過ごすことを基本に

熱中症が引き起こす倦怠感や頭痛、吐き気などは、うつや不安の症状と混同しやすく、見過ごされがちです。身体症状に「暑さの影響かもしれない」と気づく視点を持つことが予防の一歩です。

予防策:生活リズムと「ゆるやかな習慣」の維持

■ 睡眠の質を整える工夫

うつ病の悪化のサインとして「睡眠の乱れ」はとても重要です。夏は暑さにより入眠しづらくなったり、夜中に何度も目が覚めたりしやすくなります。以下の工夫で睡眠の質を確保しましょう。

  • 寝室の温度と湿度を整え、快眠できる空間を作る

  • 就寝前1時間はスマートフォンやテレビを控え、脳を“休ませる”準備

  • 寝る前に軽いストレッチや読書、アロマや音楽を取り入れるなどのルーティンを持つ

「よく眠れなかった」と自分を責めるより、「少しでも身体を休められた」と肯定的にとらえることも、精神的な安定につながります。

■ “小さな予定”を日々に組み込む

猛暑が続くと、外出が減り、生活の刺激が少なくなります。これは気分の落ち込みや無気力を招きやすいため、「小さな予定」を生活に組み込むことが、うつや不安の悪化予防につながります。

  • 午前中の涼しい時間にベランダで朝日を浴びる

  • スーパーで季節の果物や冷たい飲み物を買う

  • 気になる本を読む、短い日記をつける

こうした行動は、「やってみよう」「できた」という小さな自己肯定感につながり、気分の浮き沈みを緩やかにしてくれます。

予防策:感情や不安へのセルフケア

■ マインドフルネスや呼吸法を取り入れる

不安が強まったとき、焦燥感や息苦しさが出ることがあります。そんなときは、“今ここ”に意識を戻す簡単な呼吸法やマインドフルネスの実践が、心を落ち着ける助けとなります。

  • ゆっくりと4秒吸って、8秒吐く呼吸を数回繰り返す

  • 身体の感覚に意識を向ける(「足が床に触れている」「呼吸が通っている」など)

  • 自然の音、冷たい風、木陰の香りなど、五感を通じて“今”に戻る

これは短時間でも効果があり、毎日の「お守り」のように活用できます。

■ 自分への思いやりを忘れずに

「今日もまた何もできなかった」と落ち込む日もあるかもしれません。ですが、そんな日こそ自分を責めず、「今日は体ががんばってくれた」と視点を変えてみてください。

うつや不安症と向き合うということは、それだけで日々を“生き抜いている”ということです。その努力を、ご自身で認めてあげることも、悪化を防ぐ大切なケアです。

予防策:人とのつながりを途切れさせない

酷暑の中、外出が減ると、他人と会話する機会が減り、孤独感が高まりやすくなります。孤独はうつや不安のリスク因子です。短い会話でも、少しのやりとりでも、つながりを保ちましょう。

  • 気心の知れた人に**「暑さ大丈夫?」とLINEやメール**を送る

  • 支援者や主治医と定期的に簡単な近況報告をする

  • オンラインや電話などで顔が見える会話を心がける

症状が悪化しそうなときほど、「相談しても迷惑かな」と感じてしまいがちですが、むしろそういう時こそ、周囲の助けを借りてほしいのです。

おわりに

酷暑の夏は、心身ともに負担のかかる季節です。うつ病や不安症を抱える方にとっては、気づかぬうちに症状が悪化してしまうリスクも伴います。しかし、事前に気をつけるべきことを知り、日々の中で無理なく実践できる予防策を取り入れていくことで、心の安定を守ることは可能です。

「ひとつでもできたら十分」
「今日は休むことが仕事」
「今ここに生きている、それだけで意味がある」

そんな思いを大切に、この夏をご自身らしく、少しでも穏やかに過ごせるよう願っています。

 

こうした点を意識することで、より安全に効果的にマインドフルネスを取り入れられます!

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