うつ病とは、

うつ病とは、

目次

出典:厚生労働省 こころの耳

このページの情報は「厚生労働省 こころの耳」の情報を参照しています。

1 うつ病とは

うつ病は、一言で説明するのはたいへん難しい病気ですが、脳のエネルギーが欠乏した状態です。それによって憂うつな気分やさまざまな意欲(食欲、睡眠欲、性欲など)の低下といった心理的症状が続くだけでなく、さまざまな身体的な自覚症状を伴うことも珍しくありません。

つまり、エネルギーの欠乏により、脳というシステム全体のトラブルが生じてしまっている状態と考えることができます。

私たちには自然治癒力という素晴らしい機能が備わっていて、通常はさまざまな不具合を回復へ導いてくれます。私たちは日常生活の中で、時折憂うつな気分を味わいます。不快な出来事によって食欲が落ちることもあります。しかし、脳のエネルギーが欠乏していなければ、自然治癒力によって、時間の経過とともに元気になるのが通常です。

時間の経過とともに改善しない、あるいは悪化する場合には、生活への支障が大きくなり、「病気」としてとらえることになります。生活への支障が大きくなると、仕事・家事・勉強など本来の社会的機能がうまく働かなくなり、人との交際や趣味など日常生活全般にも支障を来すようになります。

うつ病の様々な特徴

「うつ病」といっても、その病態は多様です。①症状の現れ方、②重症度、③初発か再発か、④病型など、さまざまな特徴があります。

なお、新型うつ病や現代型うつ病といった言葉は専門家の用いる診断基準には存在せず、そのため定義もありません。

① 症状の現れ方も様々

うつ病ではうつ状態だけがみられますが、うつ状態と躁状態を繰り返す双極性障害という病気もあります。治療法が異なりますので専門家による判断が必要です。

② 重症度も様々

症状による仕事や日常生活に現れる支障の程度によって、重症度も様々です。「軽症」は、仕事や日常生活、他人とのコミュニケーションに生じる障害が自覚的にはあるものの、周囲の人はその変化にあまり気がつかないことも多いレベルです。一方「重症」は、仕事や日常生活、他人とのコミュニケーションが明らかに困難なレベルです。「中等症」は、「軽症」と「重症」の間に位置します。

③ 初発か再発かという視点

「単一性」か「反復性」かという分類です。「反復性」の場合は、特に再発防止が重要であり、双極性障害の可能性も考えておく必要があります。

④ 特徴的な病型による分類

「メランコリー型」、「非定型」、「季節型」、「産後」などがあります。

「メランコリー型」は、典型的なうつ病と言われることの多いタイプです。さまざまな仕事や責務、役割に過剰に適応しているうちに脳のエネルギーが枯渇してしまうような経過をたどるものを指しています。特徴としては、良いことがあっても一切気分が晴れない、明らかな食欲不振や体重減少、気分の落ち込みは決まって朝がいちばん悪い、早朝(通常の2時間以上前)に目が覚める、過度な罪悪感、などがあります。

それに対して「非定型」は、良いことに対しては気分がよくなる、食欲は過食傾向で体重増加、過眠、ひどい倦怠感、他人からの批判に過敏、などの特徴があります。

「季節型」は「反復性」の一種で、特定の季節にうつ病を発症し季節の移り変わりとともに回復がみられます。どの季節でも起こりうるのですが、冬季うつ病がよく知られていて日照時間との関係が指摘されています。

「産後」のうつ病は、産後4週以内にうつ病を発症するものです。ホルモンの変化、分娩の疲労、子育てに対する不安、授乳などによる睡眠不足など、不健康要因が重なることが影響していると考えられています。

2 うつ病の主な症状と原因

うつ病の主な症状

まず、うつ病の主要な症状である「憂うつ感」の特徴を確認しておきましょう。

① 楽しみや喜びを感じない

通常なら楽しかったようなことでも、楽しみや喜びを感じなくなります。何をしていても憂うつな気分を感じてしまいます。健康な状態であれば、嫌な気分のときに大好きな趣味のテニスで思いっきり汗を流したりすることで、気分が晴れたりするものです。ですが、うつ病になっていると、楽しめないどころか疲労感ばかりが増してしまいます。

② 何か良いことが起きても気分が晴れない

きっかけとなった出来事や要因が解決したり、自分にとって良いことが起こっても、気分が晴れない状態が続いてしまいます。

うつ病は、こうした症状が2週間以上継続することにより、従来の社会生活が困難になる状態をいいます。早い時点で自覚できれば、発症や重症化を未然に防げる可能性も高くなります。ただ、こうしたうつ病を代表とするメンタルヘルス疾患は、生活習慣病にもたいへん類似しており、日々生活をしている中でなかなか自覚しにくいという難しい点があるのも確かです。

そんな中で、自覚しやすい症状に注目するという考え方があります。そもそも生命体にとって、たいへん大切なものがふたつあります。ひとつは食べること。エネルギー補給です。そしてもうひとつが、エネルギー充電である睡眠です。「疲れているのに眠れない」となると、充電は底をつき自然治癒力が減少し不健康な方向へ進んでしまいます。最近では、現在不眠がある人は不眠のない人に比べ、うつ病を発症するリスクが高いなど、不眠とうつ病の関連性を示す研究報告が多く、注目されています。

睡眠に注目する利点は、自覚しやすい点です。寝つきに30分以上かかる、途中で何度も目が覚める、朝いつもより早く目が覚めてネガティブな考えごとをする、熟睡感がなくなる、などに気がついたら、まずは生活習慣を見直してエネルギーが底をつくのを防ぎましょう。具体的には、仕事の仕方を再検討する、就床前4時間のカフェイン摂取を避ける、ぬるめのお湯での入浴や音楽などでリラックスする、目覚めたら日光を取り入れる、趣味など自分のための時間を確保する、休日の過ごし方を工夫する、などがあります。

うつ病の原因

さまざまな研究によって分かっていることは、「うつ病を引き起こす原因はひとつではない」ということです。非常につらい出来事が発症のきっかけになることが多いのですが、それ以前にいくつかのことが重なっていることも珍しくありません。そのため、原因というより要因というほうが考え方としてなじみやすいでしょう。生活の中で起こるさまざまな要因が複雑に結びついて発症してしまうのです。

まず、最もきっかけとなりやすいのが「環境要因」です。大切な人(家族や親しい人)の死や離別、大切なものを失う(仕事や財産、健康なども含む)、人間関係のトラブル、家庭内のトラブル、職場や家庭での役割の変化(昇格、降格、結婚、妊娠など)などが要因となります。こうして見るだけでもさまざまな出来事が要因となりうることが分かります。

「性格傾向」も発症要因のひとつです。「うつ病とは」で説明したように、脳のエネルギーが欠乏した状態をうつ病と考えると、義務感が強く、仕事熱心、完璧主義、几帳面、凝り性、常に他人への配慮を重視し関係を保とうとする性格の持ち主は、エネルギーの放出も多いということになります。努力の成果が伴っているうちはエネルギーの回復もみられますが、成果が出せない状況が生じたり、エネルギーの枯渇が起これば発症の危険が高まります

その他、「遺伝的要因」、がんや糖尿病といった「慢性的な身体疾患」、妊娠出産や更年期障害などの内分泌変化も発症要因のひとつです。

これらの要因によってうつ病を発症している時、脳の中はどうなっているでしょうか。最近の研究では、脳内の神経細胞の情報伝達にトラブルが生じているという考え方で一致してきています。脳の中では神経細胞から神経細胞へさまざまな情報が伝達されます。その伝達を担うのが「神経伝達物質」というものです。なかでも「セロトニン」や「ノルアドレナリン」といわれるものは、人の感情に関する情報を伝達する物質であることが分かってきました。前述のさまざまな要因によって、これらの物質の機能が低下し、情報の伝達がうまくいかなくなり、うつ病の状態が起きていると考えられています。

3 うつ病の治療と予後

うつ病の治療

うつ病の治療には、「休養」、「薬物療法」、「精神療法・カウンセリング」という大きな3つの柱があります。こころの病気の治療は特別なものと考えがちですが、実はこの治療の3本柱は身体疾患と基本的に同じです。

たとえば骨折を例にとってみますと、骨が折れてしまった場合には、患部をいたわりギプスを巻いてあまり使わないようにします。これが「休養」にあたります。しかし腫れや痛みといった症状がひどい場合には、休養もしっかり取れません。そこで鎮痛剤を服用することになります。このように苦痛な症状を軽減し休養を有効に取りやすくすることによって、自然治癒力を引き出そうというのが「薬物療法」です。最後に、骨がまた折れることがないよう、再発予防を考えます。強い骨にするために食習慣や運動習慣を見直すなど、生活習慣上の対応を考えていくのが「精神療法・カウンセリング」にあたります。

では、治療の3本柱について具体的にみていきましょう。

休養

生命体は、傷んだ部分をあまり使わないようにすることで回復していく力を持っています。うつ病は脳のエネルギー欠乏によるものですので、使いすぎてしまった脳をしっかり休ませるということが治療の基本といえます。先ほど骨折を例にあげましたが、骨折でも、軽いひびが入っている状態と完全に折れている状態では休養の仕方が違うのと同様に、うつ病の治療における休養も、仕事を軽減する・残業をしないというレベルから、仕事を休んで療養する、というレベルまでさまざまです。自宅療養をしていても家族に申し訳ない気持ちで過ごしていると落ち着かない、というような場合には、軽症であっても一時的に入院するのがよいこともあります。

薬物療法

治療には「休養」が何よりも不可欠ですが、苦痛な症状により休養が十分に取れないことがあります。また、「うつ病の原因」の最後に述べたように、脳内の神経細胞の情報伝達にトラブルが生じています。そのため、脳の機能的不調を改善し、症状を軽減するために薬物療法が行われます。

薬に頼ることに抵抗感をお持ちになる方もいらっしゃると思いますが、身体の病気と同様に、「脳という臓器」がエネルギー欠乏の状態による障害が起きているため、薬を使用する、と考えてみてはいかがでしょうか。

うつ病には、「抗うつ剤」という種類の薬が有効であると考えられています。抗うつ剤によって、「人格が変わってしまうのでは」、「自分ではなくなってしまうのでは」という不安や恐怖を感じる方がいらっしゃいますが、もともと自分が持っているセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が有効に機能するようサポートするのが抗うつ剤の役割です。具体的には、もともと自分の脳内の神経細胞内にあるノルアドレナリンやセロトニンなどが、神経細胞と神経細胞の間で多くなるよう働きかけます。

ただ、抗うつ剤は即効性のある薬ではないため、効果が現れるまでに少し時間がかかります。効果の発現にはおおむね2週間くらいかかるとお考えください。すぐに効果が現れないからと服薬を中断してしまう方がいますが、主治医の指示に沿って一定期間継続することが大切です。

最近の抗うつ剤は副作用も少ないものが開発されていますが、眠気、胃腸症状などを自覚することがあります。副作用は、服薬開始の1週間ほどに感じやすく、徐々に軽減することがほとんどです。最初の1週間は効果の発現も明らかでなく、副作用のみを感じやすい時期ですが、副作用がつらい時は専門医に相談してください。

「うつ病の主な症状」でも述べましたが、多くのうつ病患者さんは不眠を伴っています。また、不安感や恐怖感などで苦しんでいる方もおられます。これらの症状には睡眠導入剤や抗不安薬(精神安定剤)などが併用されることは珍しくありません。これらの薬物は抗うつ剤と比べると効果発現が速く、服用後から効果が現れます。

精神療法・カウンセリング

「うつ病の原因」でも述べましたが、「うつ病を引き起こす原因はひとつではない」ので、休養と薬物療法のみが治療ではありません。抗うつ剤で環境要因は解決しませんし、ましてやストレスをため込みがちな性格傾向や考え方も変わりません。精神療法・カウンセリングは、主に再発予防という観点が中心となります。同じような状況の中で、うつ病が再燃・再発しないように、ご自身の思考パターン・行動パターンを見直すということになります。

精神療法・カウンセリングの中には、「認知行動療法」、「森田療法」、「内観療法」などさまざまな治療法がありますが、共通しているのはご自身の中にある「生きようとする力」を見出す点です。重要なこととして、精神療法・カウンセリングは心の専門家が一方的に行うものではなく、患者さんが専門家とともに考えていくという自主性が大切です。医師が食事指導を行った際、大切なのは患者さんが食生活習慣を改善する意志と行動であるのと似ています。

うつ病の予後

うつ病は治療を始めればすぐに治療が終わるというものではありません。骨折など病院に通う必要のある身体疾患と同じように、治癒していく過程にはある程度の期間が必要になります。治っていく経過も、良くなったり、悪くなったりという小さな波をもちながら、階段をゆっくりと1段ずつ上るように改善していきます。そして、うつ病の多くは、以前の元気が回復している状態=「寛解」状態を迎えることができるとされています。

治療の期間は、「急性期」、「回復期」、「再発予防期」と大きく3つの期間に分かれると考えられます。急性期に特に重視したい治療方法が休養および薬物療養であり、回復期や再発予防期では薬物療法および精神療法・カウンセリングといった治療方法が重視されます。

「うつ病を引き起こす原因はひとつではない」ので、3つの期間がそれぞれどれくらいの時間を要するかは、状況によってたいへん幅があります。急性期が1か月~3か月、回復期が4か月~6か月、再発予防期が1年~、というのが典型的なうつ病の場合の大まかな目安となります。もちろん軽症で早期に治療を開始した場合には、より早く再発予防期に移行することが可能となります。生活習慣病と同様、早期に対応することが重要であることは変わりありません。

最後に大切なことをひとつ述べます。それは「元気が回復してもすぐに薬は止めない」ということです。「回復期」の途中で寛解の状態を迎えます。その時自己判断で薬を止めてしまう方が珍しくありません。その結果、せっかく寛解まで来たのに再発してしまうことがあるのです。薬を減らしていくタイミングは主治医によく相談することが大切です。長期の服用は心配だと思いますが、心配な点は主治医にも伝え、根気強く「再発予防期」を過ごすことが大切です。

4 うつ病を防ぐ

(1)ストレスに気をつける

ストレスが高まってきたり、蓄積したりすると、身体面、心理・感情面あるいは行動面にさまざまな変化が現れます。

たとえば、「身体面」では、倦怠感が続く(疲れがとれない)、首や肩が凝る、胃腸の調子が悪い、よく眠れない(早く目が覚める、熟眠感がない、夜中に何度も目が覚める)、「心理・感情面」では、気分が晴れない、イライラする、落ち着きがなくなる、考えが悲観的になる、被害的になる、攻撃的になる、「行動面」では、引きこもりがちになる、食生活が乱れる、喫煙や飲酒の量が増える、約束を守れなくなる、身だしなみがだらしなくなるといった変化です。

これらを早期に察知し、必要に応じて軽減を図ることは、うつ病の予防面でもたいへん重要です。

自分自身で気づける変化

・憂うつ感:気分が落ち込んでいる、何事にも悲観的になる。憂うつだ。

・おっくう感:好きなことすら興味がもてない、何をするにもおっくうだ。

・焦り、不安感:イライラして落ち着きがない。漠然と不安だ。

・頭が回らない、決められない:いままで日常的に出来ていたことも頭が回らず進まない、決めることが出来ない。

・食欲・体重の変化:食欲がない。食欲が急に増えた。食事療法をしていないのに体重が減った。または増えた。

・睡眠の変化:良くない考えごとで寝つきが悪い、浅い眠りで夜中に何度も目が覚めてまた眠れない、朝から早く目が覚めて考えごとをしてしまうなど。

・身体の症状:これといった身体疾患がないのに、頭重感、頭痛、めまい、微熱、吐き気、

下痢や便秘など身体の症状が続く。

・疲れがとれない:朝からぐったりと疲れきっている。いくら寝ても疲労感がぬけない。

こうしたストレスによる変化には、本人が自覚しやすいものと、周囲のほうが気づきやすいものがあります。特に「行動面」の変化は周囲の方が気がつきやすいことがあります。したがって、職場の仲間や友人、家族などから、「最近少し様子がおかしい」とか「疲れているようにみえるよ」といった助言があれば、それに耳を傾けることも大切です。

また、大きな出来事(昇進や転居といった一般的に望ましいものも含みます)を短期間に続いて体験した場合には、自分で気づかないうちにストレスが高まっていることがよくあります。時々、自分自身の生活を振り返ってみる時間を持つようにしましょう。

(2)仕事のストレスの軽減を図る

仕事のストレスは、自分で軽減できるものと、そうでないものがあります。

前者としては、時間の使い方や作業の手順を工夫して、仕事をより効率的に処理することや、仕事時間と休養とのメリハリをつけて、効果的なリフレッシュを図ることなどがあげられます。また、仕事をひとりで抱え込んでしまい、そのためにオーバーワークになる傾向のある人は、目の前の仕事を上手に周囲の人に頼む、あるいは依頼された仕事をうまく断る術を身につけるのもよいでしょう。仕事のストレスは逃れようがなく、如何ともしがたいと考えられがちですが、仕事の仕方や進め方を見直すことで軽減できる面も案外あるのです。

また、これは仕事に限ったことではありませんが、最近ではうつ病につながりやすい物事の受け止め方、思考パターンが指摘されるようになってきました。たとえば、「全か無か」しか考えられず、その中間が認められない、自責的である、物事の自分にとっての負の側面ばかりを見がちであるなどです。こうした特性を、劣等であるとか恥じるべきであるなどと考える必要は決してありません。けれど、その傾向が強いと、うつ病になりやすいという意味では損なところがあると言えますから、場合によっては少し見直してみるのもいいかもしれません。

自分だけでは解決できない事柄については、上司や同僚に相談してみましょう。時には、職場で話し合いや調整をすることによって、事態が改善すると思われることについては、職場改善活動などの機会に、具体的な提案をしてみることをお勧めします。

(3)相談をする

上述したストレス反応やうつ病の症状に心当たりがある場合には、専門家に相談してみることをお勧めします。いつもより程度が強いとき、あるいは持続期間が長いときは要注意です。特に、八方ふさがりで、何をどうしてもうまくいかないような気持ちになっているのであれば、ぜひどなたかに相談してみてください。ひとりで悩んだり考え抜いたりすることは、確かに自己成長につながることもあるものですが、仕事や生活面にひどい影響が出てしまってからでは、その修復に時間やエネルギーを要します。症状の改善にもそれだけ時間がかかります。

身近な医療専門職としては、まず企業内にいる産業医や看護職などがあげられます。医療職として守秘義務を負っていますから、本人の知らないところで相談内容が第三者に漏れていることは、通常ないはずです。相談の問題を解決するために、上司や人事関係部署の協力が必要で、相談内容の一部を彼らに情報提供を要する場合にも、本人にその旨を伝えて了解を得てから話を進めるのが一般的です。何がしかの不安がある場合には、相談内容や相談したという事実がどのように守秘されるのかを確かめてみるとよいでしょう。

相談するには、その内容を整理してからでないと失礼だ、などと考える必要はあまりありません。むしろ、そうしたことが困難となっているために、悩みや苦しみが強い場合さえあるのですから、とりあえずは今の状態をそのまま受け止めてもらおうというくらいの気持ちで結構です。そして、相談してみると、人に伝えるという行為そのものが、自身の頭の整理になることもあります。

企業によっては、外部のメンタルヘルスサービス機関に業務委託をして、電話相談やメール相談などの相談窓口を設置しているところもあります。ご自身の所属する組織では、どのような相談ルートがあるのか、はっきりとご存じない場合には、一度調べてみることをお勧めします。外部の相談機関については、「相談窓口案内」から探すこともできます。また、「こころの耳の相談窓口」も利用できます。

(4)情報を得る

職場でメンタルヘルスに関する講演会等が開催される場合には、積極的に参加して情報を得るようにしましょう。最近では、新書や文庫、インターネットなどで、容易にメンタルヘルスに関する情報を入手できるようになりました。心の病気そのものをわかりやすく解説したものや、ストレートな体験記、小説などたくさんのものがあります。うつ病に限っても、かなり詳しいところまで、知識を得ることができます。上述したストレス対処についても、さまざまな手法やコツが紹介されていますから、その中から自分に合ったものを選んで試みることができるでしょう。本サイトからも、数多くの有用な情報を得られます。

しかし、そうした情報の中には、かなり偏向した内容のものもありますから、注意が必要です。いくつかの出所が異なるものを読み比べてみるのもよいでしょう。また、いくら詳細な情報であっても、それだけで心の病気の診断がついたり、最も適した治療法がわかったりするわけではないことにも留意してください。

たとえば、10項目とか20項目とかの簡単な質問が用意されており、それらに答えることによって総合得点が算出さ;+れ、うつ病の可能性が高い、あるいはその可能性が低いといった自己評価ができるサイトがあります。しかし、それはあくまで「可能性」であり、「診断」ではありません。質問紙(アンケート)だけでは、それがどのくらい詳細なもので、よくできていても、正確な診断名を得ることはできないのです。

このページの情報は「厚生労働省 こころの耳」の情報を参照しています。

出典:厚生労働省 こころの耳

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